モアイからのメッセージ その1 森林と神々
モアイの切り出し場、ラノ・ララク。手前に右下を頭に一体、その奥にも左上を頭に一体のモアイが彫られている ©牧哲雄
イースター島のあちらこちらで見かける羊たち ©牧哲雄
ラノ・ララクの山を登って山頂から島を見渡すと、あちこちで羊が草を食んでいる。馬に乗った男たちが羊を追っている。クックは島には木がないと書いた。街路樹を除くと、たしかに見渡すかぎり森も林もない。ところが地層を分析した結果、かつては熱帯雨林に覆われていたことがわかっている。
オロンゴ岬でしばしば見られる鳥人のペトログリフ ©牧哲雄
ここにはタンガタ・マヌ(鳥人)、マケマケ(創造神)、コマリ(豊饒の神)をはじめ、数百の岩絵がある。島を揺るがす海の力、絶海を渡る鳥の力、生命を生む女性の力……万物に力を認め、メラネシアやポリネシアの人々はその神秘を「マナ」と呼んで信仰した。