世界遺産/アメリカの世界遺産

イースター島 ラパ・ヌイ国立公園/チリ(2ページ目)

隣の陸地から約420km、人が住む島からは2,000kmも隔絶された孤島イースター。ところがこんな孤島に、最大で200tものモアイが900体以上も打ち捨てられていた。西洋に発見されたときにはすでに文明が消滅していたというミステリーと、美しい火口湖&モアイを見る旅を紹介する。

モアイからのメッセージ その1 森林と神々 

モアイの切り出し場、ラノ・ララク。手前に右側を頭に一体、その奥にも左側を頭に一体のモアイが彫られている ©牧哲雄

モアイの切り出し場、ラノ・ララク。手前に右下を頭に一体、その奥にも左上を頭に一体のモアイが彫られている ©牧哲雄

イースター島のあちらこちらで見かける羊たち ©牧哲雄

イースター島のあちらこちらで見かける羊たち ©牧哲雄

イースター島の東、バンガロアから約20kmの位置にラノ・ララクがある。ここには造りかけのモアイが散在している。完成済みのモアイも多く、作業が突然中止されているのがわかる。

ラノ・ララクの山を登って山頂から島を見渡すと、あちこちで羊が草を食んでいる。馬に乗った男たちが羊を追っている。クックは島には木がないと書いた。街路樹を除くと、たしかに見渡すかぎり森も林もない。ところが地層を分析した結果、かつては熱帯雨林に覆われていたことがわかっている。

 

オロンゴ岬でしばしば見られる鳥人のペトログリフ ©牧哲雄

オロンゴ岬でしばしば見られる鳥人のペトログリフ ©牧哲雄

バンガロアの西南、休火山ラノ・カウの山頂、オロンゴ岬の300mの断崖の先端に立つと、丸い水平線に囲まれる。地球は球である。この景色を見ればそんなことあたり前。丸い地球の頂上に立って太平洋を踏んづける。断崖には数百kmも旅してきた巨大な波が打ち寄せ、断崖からは鳥たちが飛び立つ。

ここにはタンガタ・マヌ(鳥人)、マケマケ(創造神)、コマリ(豊饒の神)をはじめ、数百の岩絵がある。島を揺るがす海の力、絶海を渡る鳥の力、生命を生む女性の力……万物に力を認め、メラネシアやポリネシアの人々はその神秘を「マナ」と呼んで信仰した。

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