ザンジバル島のストーンタウン／タンザニア(2ページ目)

それでも楽しいストーンタウン

際立って壮大な建築物もなければ美しい建物もない。でも、これほど街歩きが楽しい街もない。ストーンタウンは迷路のように入り組んでいるのだが、そこに迷い込むと建物や人々との思わぬ出会いに尽きることがない。

ある街角には繊細なアラベスクがビッシリ刻み込まれたザンジバル・ドアがある。ある街角ではイスラム教徒がメッカの方角に祈りを捧げている。ある街角では露天が出ていてティンガ・ティンガの絵を売っている。ある街角では映画館でインド映画を上映していて、チャイとサモサ屋が出ている。街を出たと思ったら屋台が並んでいて、ロブスターや太刀魚、サザエやらタコやらを焼いている。海岸では子供たちが凧上げをしていて、赤く大きなアフリカの夕陽に凧が重なる。
街の6～7割は民間の住居か商業地で、生活の場そのもの。ストーンタウンは生きている世界遺産なのだ。文化とは人々の生活そのもの。その内側に入って彼らの視点で世界を眺めることで、はじめて感じとることができるものだ。この街を歩けば、そんな本物の異文化体験ができるはずだ。