名所・旧跡/関東の名所・旧跡

東京さくら散歩・ガイドが選ぶ桜の名所巡り

高層ビルが立ち並ぶイメージの強い東京。でも春を迎える頃には各地で桜が花開き、街全体を桜色に染め上げます。今回は「東京さくら散歩」と題して、ガイドおすすめの東京の桜の名所をピックアップしてご紹介します。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

「東京には空が無い」 詩人・高村光太郎が残した詩集『智恵子抄』の中にある有名なフレーズです。そんな風に形容されたこともある東京ではありますが、よく見回してみると緑は意外と多く、春を迎える頃には各地で桜が花開き、街全体を桜色に染め上げていきます。

今回は、日本の首都 東京を舞台に「東京さくら散歩」と題して、東京の桜の名所からガイドおすすめの場所をピックアップしてご紹介します。
<目次>

東京タワーをバックに咲くしだれ桜を楽しみましょう

増上寺のしだれ桜(1)

東京タワーをバックに咲き誇るしだれ桜が見られる増上寺
都内にいることを忘れてしまう広い空間が広がる境内より、極上の眺めを楽しめます(2018年3月23日撮影)

東京さくら散歩、最初にご紹介するのは増上寺(ぞうじょうじ、Googleマップ)。

山手線、京浜東北線の浜松町駅と都営地下鉄浅草線の大門駅から少し歩いたところに位置する浄土宗の名刹です。 地名をつけて「芝の増上寺」と呼ばれることも多いので、こちらの名前で思い出す方も多いことでしょう。
増上寺のしだれ桜(2)

増上寺の大殿と東京タワーとしだれ桜(2018年3月23日撮影)

日比谷通りに面する大きな三解脱門をくぐると、都内とは思えない広々とした空間を持つ境内へ。境内の正面には大殿が構えていて、右後ろに東京のシンボル、東京タワーがそそり立つ位置関係です。境内には大きなしだれ桜やソメイヨシノなどの木が点在していて、桜の開花時期が来た時は参拝客を見守るかのように花を咲かせます。
増上寺のしだれ桜(3)

アングルを工夫すると東京タワーを覆う形でしだれ桜が咲く風景を見られます(2020年3月27日撮影)

アングルを工夫すると、東京タワーにかかるような形でのしだれ桜を見ることができます。

東京タワーとほぼ同じ高さを誇る麻布台ヒルズ森JPタワーが建設されたことで少し雰囲気は変わりましたが、実際に増上寺へ参詣してお気に入りのアングルを探してみることをおすすめします。
 

お濠端で桜を愛でる

大手門前のしだれ桜

お濠端、大手門前のしだれ桜。大手門を背景に眺めることもできます(2014年4月6日撮影)

続いては、皇居のお濠端に行ってみましょう。

東京駅の丸の内中央口から皇居の方向へ向かい、和田倉噴水公園から内堀通りを右に歩くと大手門の交差点。この大手門Googleマップ)の近くにしだれ桜の木が点在しています。

桜並木と呼ばれるほど桜の木が密集しているわけではありませんが、背景にお濠と大手門が加わると、とても絵になる風景ができあがります。
千鳥ヶ淵の桜(1)

江戸城のお濠、千鳥ヶ淵と桜並木。東京を代表するお花見スポットの1つです(2020年3月27日撮影)

お濠端の桜といえば忘れてはいけないのが、千鳥ヶ淵の桜Googleマップ)。広々としたお濠の両岸にソメイヨシノやオオシマザクラなどの桜並木が続きます。

川岸の桜並木をくぐりながら歩くのもよし、ボートに乗って水面近くから両岸の桜を見上げるのもよし。特に桜が散り始めた時は、散った桜の花びらで美しいカーブを描くお濠が埋め尽くされることも。
千鳥ヶ淵の桜(3)/ライトアップ

千鳥ヶ淵の桜ライトアップとライトアップした東京タワー(2023年3月25日撮影)

桜が見頃を迎える時期にあわせて、夜は桜並木のライトアップが行われます。ライトアップした東京タワーとの組み合わせが特に人気が高く、常に混雑していますが、一度は見に行ってみる価値がある美しい夜景です。

以前は千鳥ヶ淵からきれいに見えていた東京タワーですが、麻布台ヒルズの再開発等で手前にビルが建設されたことで、東京タワーの下の方が見えにくくなりました。
 

皇居の中に咲く桜も楽しめますよ

皇居東御苑の桜(1)/江戸城の天守台と桜

皇居東御苑の中にある江戸城の天守台と天守台に咲く桜の木(2014年4月6日撮影)

皇居のお濠端の桜をご紹介しましたが、続いては皇居の中に咲く桜です。

大手門の奥にある皇居東御苑Googleマップ)は、日中公開されており(曜日によりクローズする日あり)、気軽に皇居の豊かな緑と江戸城の名残を目の当たりにすることができる貴重な場所です。もちろん桜の木もあって、お花見を楽しみつつ散策することができます。
皇居東御苑の桜(2)/御衣黄

皇居東御苑の中で咲く緑色の花を咲かせる桜「御衣黄」(2014年4月6日撮影)

江戸城の天守台に咲く桜の木や、全国的にも珍しい緑色の花を咲かせる桜、御衣黄(ぎょいこう)が皇居東御苑で見ることができます。
皇居乾通りの桜(1)

皇居乾通り 一般公開/乾通り沿いに咲く桜(2014年4月6日撮影)

また皇居の中に咲く桜では、毎年春と秋に行われている乾通りの一般公開も注目です。乾通り(Googleマップ)は皇居東御苑の西側のお濠の向かい側にあたり、一般公開では坂下門から乾門へ向けて散策することができます。
皇居乾通りの桜(2)

皇居乾通り 一般公開/乾通り沿いに咲く桜とお濠(2014年4月6日撮影)

乾通り沿いにはさまざまな桜の木が植えられていて、桜の開花と春の一般公開のタイミングが合うと桜が咲く風景を見ながら歩くことができます。皇居の中という特別な雰囲気もあわさって見ごたえがありますよ。
 

TOKYO DOMEのそばにも立派な桜が!

小石川後楽園のしだれ桜(1)

小石川後楽園のしだれ桜(馬場桜)
TOKYO DOMEのすぐそばに、こんな見事な桜の木がありますよ!(2023年3月19日撮影)

東京さくら散歩、続いてご紹介するのは、小石川後楽園Googleマップ)。TOKYO DOMEからも歩ける距離にあって、徳川家に縁があり水戸光圀公の時代に完成した中国風の回遊式庭園です。
小石川後楽園のしだれ桜(2)

大泉水越しに望む小石川後楽園のしだれ桜。湖面に映り込む桜も含めて美しい風景です(2023年3月19日撮影)

園内各所に桜が咲きますが、圧巻は西門の出入口を入ってすぐ正面に見えるしだれ桜(馬場桜)。周囲に張り出した大きな枝からあふれんばかりの桜の花が咲き誇ります。園内の大きな池、大泉水越しに見る桜も見ごたえがあります。
小石川後楽園のしだれ桜(3)

園内にある渡月橋、通天橋方面へ向かう散策路の途中にあるしだれ桜
桜の本数こそ少なめの小石川後楽園ですが、いろいろな美しい桜の風景を楽しめます(2023年3月19日撮影)

桜の木と散策路の距離が近く、満開の桜の花の下を歩けるところもありますので、ゆっくり散策する時間を取るとよいでしょう。
 

新宿駅から歩いて桜のお花見へ!

新宿御苑の桜(1)

新宿御苑の桜。代々木の名物ビルを背景に桜を見ることができます(2021年3月31日撮影)

東京さくら散歩、続いてご紹介するのは新宿駅から徒歩圏内のスポットです。

新宿御苑Googleマップ)は、江戸時代に信州・高遠(たかとお)藩の江戸屋敷が置かれたことが始まりで、明治時代には皇室の庭園となりました。その後1949年(昭和24年)に園地を一般公開しています。
新宿御苑の桜(2)

ソメイヨシノや八重桜などあらゆる品種の桜が咲きそろう新宿御苑
アングル次第でいろいろな桜の風景を楽しめます(2021年3月31日撮影)

新宿駅から歩ける距離にあるにも関わらず広大な園地を持ち、さらに多種多彩な植物を植えているので、いつ訪れても何かしら花が咲いている素敵な場所です。
新宿御苑の桜(3)

御苑内には池が複数あり、畔に咲く桜とあわせて愛でることができます
散った花びらが池に浮かぶ花筏が見られることも(2021年3月31日撮影)

春の時期は早咲きのカンザクラ、カワヅザクラに始まって、オオシマザクラ、ソメイヨシノなどが咲き、最後に八重桜が咲くまでの期間、ほとんど切れ目なく桜のお花見を楽しむことができます。
常圓寺のしだれ桜

新宿の超高層ビル群をバックにして咲く常圓寺のしだれ桜(2023年3月21日撮影)

もう一つ、新宿駅から歩いて行ける所にある桜の名所が常圓寺(じょうえんじ、Googleマップ)。およそ600年の歴史を持つ日蓮宗の古刹です。

常圓寺の境内には、江戸三大桜の1つに数えられた大枝垂桜が植えられており、毎年力強く花を咲かせます。新宿の超高層ビル群に囲まれた中で華やかに咲く孤高の桜の姿は強く印象に残りますね。
 

2キロ続く桜のトンネルが美しい中野通り

中野通りの桜のトンネル(1)

2キロにわたり桜のトンネルが出来上がる中野通りの桜並木(2022年3月31日撮影)

東京さくら散歩、続いては新宿の隣の中野へ。

幡ヶ谷から中野駅経由で哲学堂までを結ぶ中野通り(東京都道420号線、Googleマップ)のうち、中野駅北口から哲学堂までの約2キロの区間にはソメイヨシノ約300本の桜並木があり、満開になると見事な桜のトンネルができあがります。
中野通りの桜のトンネル(2)/西武新宿線の踏切と電車

中野通り・桜のトンネルの途中にある西武新宿線踏切を電車が行く(2022年3月31日撮影)

中野通りを走るバスやタクシーに乗って車窓から桜並木を眺めたり、マイカーやバイク、自転車で桜のトンネルの中を走るなど楽しみ方はいろいろ。もちろん歩道からゆっくり見上げるのもOKです。途中には西武新宿線の踏切(新宿線地下化工事により2027年春頃に廃止予定)などのアクセントもあり、ひと味違うお花見を楽しめます。
 

日本三大桜の子孫樹が、赤坂で毎年花を咲かせます

赤坂サカスの三春桜(1)

赤坂サカスに移植された「三春の滝桜」の子孫樹「三春桜」
例年3月下旬に花を咲かせます(2022年3月26日撮影)

東京さくら散歩、続いては赤坂へ。

2008年、赤坂にオープンした赤坂サカスGoogleマップ)には、敷地内に数多くの種類の桜の木が植えられていますが、その中でもひときわ大きなしだれ桜の木があります。

このしだれ桜は「三春桜」。福島県三春町にある日本三大桜の1つ「三春の滝桜」の子孫樹が赤坂Sacasのシンボルツリーに選ばれて、赤坂の地に移植。無事に根付いて毎年美しい花を咲かせています。
赤坂サカスの三春桜(2)

千代田線 赤坂駅から階段を上ると出迎えてくれる赤坂サカスの三春桜(2022年3月26日撮影)

東京メトロ千代田線 赤坂駅の改札から赤坂Sacasへ続く階段を上ると、この三春桜が出迎えてくれますよ。
 

六本木で桜並木の散策とライトアップを満喫

六本木・東京ミッドタウンの桜並木(1)

六本木・東京ミッドタウンのさくら通りを春色に染め上げる桜並木(2018年3月23日撮影)

東京さくら散歩、続いては六本木へ。

2007年、六本木から徒歩数分の所にオープンした東京ミッドタウンGoogleマップ)は商業施設やホテルが入る高層ビルの横に檜町公園が隣接するなど、都会の中にいながら自然を身近に感じるスポットです。
六本木・東京ミッドタウンの桜並木(2)

六本木・東京ミッドタウンの桜並木を下から見上げる(2018年3月23日撮影)

外苑東通りから高層ビルの外周を囲むさくら通りには桜並木があり、春を迎えるとビルの周囲を華やかに飾ります。
六本木・東京ミッドタウンの桜並木(3)

ライトアップされた六本木・東京ミッドタウンの桜並木(2019年4月2日撮影)

また桜が見頃を迎える頃にあわせて、六本木・東京ミッドタウンではさくら通りの桜並木をライトアップされるイベントが開催されます。日中とは違う美しい夜景を楽しめますね。
 

隅田公園で桜並木と東京スカイツリーのコラボレーションに感動!

隅田公園の桜並木(1)/東京スカイツリーと共に

隅田公園の桜並木と東京スカイツリー。対岸の墨田区側にも見事な桜並木が望めます(2015年4月2日撮影)

東京さくら散歩、続いては浅草へまいりましょう。

隅田公園Googleマップ)は、浅草の近く、隅田川にかかる吾妻橋から上流の桜橋に向けて両側の岸に延びる細長い公園です。隅田川左岸が墨田区、右岸が台東区と区が分かれますが、どちらも隅田公園を名乗ります。
隅田公園の桜並木(2)

江戸時代から続く桜の名所、隅田公園の桜並木(2015年4月2日撮影)

隅田川沿いの堤防は、江戸時代から続く桜の名所。現在もソメイヨシノやしだれ桜などたくさんの種類の桜の木があり、美しい桜並木を形成しています。

2012年に東京スカイツリーが完成した後は東京スカイツリーと桜並木のコラボレーションが楽しめるスポットとしてさらに人気が高まりました。
隅田公園の桜並木(3)/東京スカイツリーと共に

東京スカイツリーを囲むように見える隅田公園の桜並木(2015年4月2日撮影)

桜が見頃を迎える日にちにあわせて、右岸では「隅田公園桜まつり」、左岸では「墨堤桜まつり」が開かれ、お花見を楽しむ人たちでにぎわいます。
隅田公園の桜並木(4)/東京スカイツリーのライトアップ、屋形船と共に

ライトアップされた隅田公園の桜並木と東京スカイツリーの特別ライトアップ「舞」
屋形船の明かりもアクセントになります(2017年4月6日撮影)

夜は桜並木と東京スカイツリーのそれぞれのライトアップの相乗効果により、春限定の素敵な夜景を堪能することができます。隅田川を航行する屋形船や水上バスからのお花見も楽しいですね。
 

大名庭園のしだれ桜が美しい六義園

六義園のしだれ桜(1)

大名庭園である六義園でひときわ目立つしだれ桜
花を咲かせた時には、常に多くの人たちに取り囲まれています(2023年3月19日撮影)

東京さくら散歩、最後は六義園(りくぎえん、Googleマップ)をご紹介します。

徳川五代将軍綱吉の時代、老中から大老にまで上り詰めた柳沢吉保が作り上げた回遊式の庭園が六義園。 真ん中に配置した大きな池・大泉水の周囲に美しい風景が広がります。
六義園のしだれ桜(2)

青空に映える六義園のしだれ桜。桜の花のボリュームは迫力満点(2023年3月19日撮影)

ここには、約15メートルの高さをもち、幅が20メートルに達するエドヒガンと呼ばれる品種のしだれ桜があります。花を咲かせた時には、その圧倒的なボリュームで見に来た人々の心を釘付けにしてしまいます。
六義園のしだれ桜(3)/ライトアップ

ライトアップで浮かび上がった六義園のしだれ桜(2019年3月22日撮影)

六義園のしだれ桜は、日射しをたっぷり浴びている日中も美しいのですが、おすすめしたいのはライトアップされた夜桜。漆黒の闇の中に浮かび上がる淡い色彩のしだれ桜の姿は何度見ても飽きることがありません。都内の桜の中ではガイド1番のお気に入りの桜だったりします。

しだれ桜のライトアップは「春夜の六義園」というイベントとして、しだれ桜の開花にあわせて開催されるので、六義園のWebサイトで開花状況を確認してから出かけられると良いでしょう。
 


「東京さくら散歩」と題して、たくさんある東京の桜の名所から厳選してご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 桜の開花情報などを参考にしてぜひ東京の桜に会いに出かけてみて下さい。
 

「東京さくら散歩」でご紹介した場所へのアクセス

東京さくら散歩・桜の名所の位置関係

「東京さくら散歩」でご紹介した桜の名所の位置関係

※すべて公共交通機関を利用した場合のアクセスとなります。
■増上寺
JR 浜松町駅または都営地下鉄 大門駅から徒歩
 
■大手門、皇居東御苑
東京メトロ・都営地下鉄 大手町駅またはJR 東京駅から徒歩
 
■千鳥ヶ淵
東京メトロ・都営地下鉄 九段下駅から徒歩
 
■小石川後楽園
都営地下鉄 飯田橋駅または東京メトロ 後楽園駅から徒歩
 
■新宿御苑
新宿門:東京メトロ 新宿御苑前駅、東京メトロ・都営地下鉄 新宿三丁目駅または新宿駅より徒歩
大木戸門:東京メトロ 新宿御苑前から徒歩
千駄ヶ谷門:JR 千駄ヶ谷駅または都営地下鉄 国立競技場駅から徒歩
 
■常圓寺
新宿駅、東京メトロ 西新宿駅または都営地下鉄 新宿西口駅から徒歩
 
■中野通り
西武鉄道 新井薬師前駅から徒歩、またはJR 中野駅から徒歩またはバス利用
 
■赤坂サカス
東京メトロ 赤坂駅から徒歩
 
■東京ミッドタウン
都営地下鉄 六本木駅または東京メトロ 乃木坂駅から徒歩
 
■隅田公園
東京メトロ・都営地下鉄・東武鉄道 浅草駅から徒歩
 
■六義園
JR・東京メトロ 駒込駅から徒歩
【関連記事】 【関連サイト】
◇「名所・旧跡」ガイドの「さくら散歩」シリーズの記事はこちらです。
「桜の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで桜が楽しめる名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「関東の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで関東地方の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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