昼も夜も美しい姿を見せ続ける六義園の"しだれ桜"
どこを見回しても高いビルが縦横無尽に立ち並ぶ印象が強い大都会東京。しかし皇室ゆかりの庭園や江戸時代の将軍家、大名により造られた庭園など多数の緑あふれる空間が現代に至るまで残り、都会の中にあるオアシスとして多くの人たちの心を癒しています。そんな都会のオアシスが一段と華やかになるのが寒い冬の後にやってくる春の季節。中でも毎年多くの人が花見を心待ちにしている桜の風景に注目が集まります。
東京で楽しめる数々の桜の風景の中で、ガイドが毎年必ず逢いに行く桜があります。その桜とは駒込・六義園(りくぎえん)にある"しだれ桜"。日中はもちろんのこと、ライトアップされた夜桜も美しい六義園のしだれ桜をご紹介します。
<目次>
- 2018年の見頃は?六義園のしだれ桜の開花予想
- 大老 柳沢吉保が造った回遊式庭園、六義園
- ソメイヨシノとは違った魅力がある"しだれ桜"の咲く風景
- 圧倒的なボリュームのしだれ桜の姿に驚きます!
- 夜桜が幻想的な姿を見せる!ライトアップイベントと混雑情報
- メインのしだれ桜以外にも、素敵なしだれ桜が咲きますよ!
- 六義園へのアクセス
2018年の見頃は?六義園のしだれ桜の開花予想
ウェザーマップが発表した2018年のサクラ(ソメイヨシノ)開花予想によると、東京の開花は3月26日、満開を迎えるのは4月2日。六義園のしだれ桜は、例年だとソメイヨシノよりも一足早く花が開花します。見頃を迎える時期もソメイヨシノより早めなので、東京に桜の便りが聞こえてきたら、六義園のWebサイトや東京都公園協会のWebサイトを日々確認することをおすすめします。
大老 柳沢吉保が造った回遊式庭園、六義園
六義園(Yahoo! 地図情報)は、東京都文京区駒込にある庭園です。300年以上の昔、徳川幕府五代将軍 綱吉の時代に老中、大老まで上り詰めた大名・柳沢吉保により7年の歳月をかけて造られました。真ん中に配置した池(大泉水)の周囲をぐるっと散策すると景色の変化が楽しめる回遊式庭園となっており、1938年(昭和13年)に(旧)東京市の庭園として一般公開されています。
ソメイヨシノとは違った魅力がある"しだれ桜"の咲く風景
春夏秋冬それぞれの季節にあわせて様々な美しい風景が楽しめる六義園ですが、たくさんの人が逢いに来る"しだれ桜"の木が正門近くの広場に植樹されたのは昭和30年代に入ってからのこと。 国内で良く見られるソメイヨシノとは異なり、このしだれ桜は長寿となる樹が多いエドヒガンと呼ばれる品種です。余談になりますが、ソメイヨシノは六義園の近くにあった染井村においてエドヒガンとオオシマザクラの交配により育成された桜の品種。ソメイヨシノではありませんでしたが、染井村に近かった六義園が現代の桜の名所となったのには何かご縁があるのかも知れません。
圧倒的なボリュームのしだれ桜の姿に驚きます!
植樹から60年近くの歳月を経た今も六義園のしだれ桜はなおゆっくりと成長を続けており、木の高さはこの10年強のうちに2メートル伸びて約15メートルになりました。しだれ桜の前の広場がコンパクトなスペースということもあって、目の前で見ると数字よりも高く感じます。
そして特筆すべきは、幹から両サイドに広がるしだれ桜の枝ぶりの幅。
こちらもガイドが初めて見た2004年当時から3メートル広がり、現在では約20メートルに達しました。満開の時に見るとその圧倒的な花のボリュームとその美しさに驚き、忘れられなくなるほどの凄さです。
東京を代表する桜の風景は?と聞かれた時、千鳥ヶ淵や上野恩賜公園、飛鳥山公園など桜並木がメインの名所を挙げられる方も多いのですが、六義園にはこの1本のしだれ桜の咲きっぷりを見たい!と毎年多くの人が訪れています。
満開時期が近づくと入園券購入の行列も長くなりますし、しだれ桜の前の広場が桜を見に来た人たちで埋まってしまいます。それでも逢いに行きたくなる魅力いっぱいの桜ですね。
夜桜が幻想的な姿を見せる!ライトアップイベントと混雑情報
六義園は東京都公園協会が管理する公園として、通常は日中のみ開園しますが、紅葉の時期と春に桜が咲く時期にあわせて特別イベントとして夜間開園が行われます。春の特別イベントのタイトルは「しだれ桜と大名庭園のライトアップ」。回遊式庭園の中心をなす池とその周囲、そしてしだれ桜がライトアップされた美しい夜景を楽しめます(2018年は3月21日~4月5日の開催予定)。
イベント開催中は駒込駅に近い染井門が特別に開門されるので、駅からのアクセスがさらに便利になります。染井門からしだれ桜までは園内の通路を歩いて数分の距離です。
なおライトアップは特に人気が高く、桜が見頃を迎えた時は染井門、正門共に入園券購入に1時間以上待つこともあります。入場の最終時間は20時半のため、時間に余裕をもって訪れましょう。

日没と共に始まるしだれ桜のライトアップ。空が少しずつ暗くなるのにあわせて、少しずつライトアップの光が強くなっていきます。刻々と雰囲気が変化していくこの瞬間が好きという方も多いですね
(2016年3月26日18時20分頃撮影・見頃(満開直前))
ちなみに日中と夜間で人の入れ替えは特に行われませんので、夕方に入園して暗くなるまで園内に留まることも可能です(ただし夜間は園内の一部の通行に制限がかかります)。
漆黒の夜の闇が空全体を支配した時、ライトに照らされたしだれ桜の姿は幻想的で、何度見ても飽きることがありません。しだれ桜の前の広場にはこの美しい姿を見ようとする人で埋め尽くされることも多いのですが、それでも毎年逢いに行きたくなってしまいますね。
ちなみに正門から六義園に入園した時、しだれ桜の全体の姿をすぐに見ることはできません。内庭大門という小さな門をくぐって初めて正面にしだれ桜の全体像を目にすることになります。門越しに現れるしだれ桜の圧倒的な存在感は忘れられない瞬間となるでしょう。
メインのしだれ桜以外にも、素敵なしだれ桜が咲きますよ!
最後に「六義園のしだれ桜」というと今まで紹介したしだれ桜を指すことが多いのですが、実は他にも素敵なしだれ桜が咲いています。まず1つは吟花亭のしだれ桜。「第二のしだれ桜」として紹介されており、徳川五代将軍 綱吉の娘、鶴姫がお花見を楽しんだ吟花亭の跡に咲いています。
そして、もう一つがメインのしだれ桜の近くにある竹林のそばに咲く背の高いしだれ桜の木。この木もライトアップされます。メインのしだれ桜よりも遥かに高い位置から桜の花が降り注ぐように咲く風景は、また違った美しさを感じられます。こちらもおすすめですね。
数ある東京の桜の風景の中でガイド一押しの六義園のしだれ桜をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。春ならではのしだれ桜の風景をぜひ間近で目に焼き付けて下さいね。
六義園へのアクセス
地図:Yahoo! 地図情報アクセス:
<鉄道>
山手線・東京メトロ南北線 駒込駅下車。正門は駒込駅から本郷通りを歩いて7分ほど。
「しだれ桜と大名庭園のライトアップ」が開催中の時は、駒込駅から徒歩2分ほどの染井門からも入園することができます。
また都営地下鉄 三田線 千石駅からも徒歩10分ほどの距離です。
<バス>
文京区コミュニティバス「B-ぐる」千駄木・駒込ルート 24番六義園入口バス停 下車。
このバスは、六義園と同じく桜の名所である小石川後楽園を経由するので両方の桜を楽しむ時に便利です。
<車>
六義園専用の駐車場はありません。鉄道・バス等の利用をお勧めします。
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- All About 東京
- 六義園(東京都公園協会)
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