世界遺産/アジアの世界遺産

イスファハンのイマーム広場/イラン(3ページ目)

イマーム広場の魅力は「イランの真珠」「世界の半分」と讃えられた美しいモスクや宮殿と、人懐こいイスラム教徒たちとの出会いだ。今回はそんなイランの世界遺産「イスファハンのイマーム広場」へご招待しよう。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

世界でもっとも壮麗な寺院イマーム・モスク

噴水越しに見るイマーム・モスク。イスファハンはカビール砂漠にありながらザヤンデルード川の豊富な水を利用して繁栄した ©牧哲雄

噴水越しに見るイマーム・モスク。イスファハンはカビール砂漠にありながらザヤンデルード川の豊富な水を利用して繁栄した ©牧哲雄

イマーム・モスク。手前のイーワーンを通って内部へ向かう ©牧哲雄

イマーム・モスク。手前のイーワーンを通って内部へ向かう ©牧哲雄

イスファハーンのハイライトはなんといってもイマーム・モスクだ。このモスクはアッバース1世が1612年に建設が開始し、彼の死の翌年、1630年に完成した。まず、門のような巨大な建物イーワーンを抜けて入るのだが、このイーワーンを見上げれば、誰もが言葉を失う。

幾何学的な直線が美しい建物に、曲線が美しいアラベスクの細かい文様がビッシリと描かれている。周囲のコーランの文字も美しければ、鍾乳石を模したムカルナスと呼ばれる飾りがまたすばらしく美しい。そして全体はイランや中央アジアのイスラム建築特有の青で統一されており、全体がオアシスのように清涼感を与えている。

 

イマーム・モスクの回廊。アラベスクと青で統一された神秘的な空間が広がっている ©牧哲雄

イマーム・モスクの回廊。アラベスクと青で統一された神秘的な空間が広がっている ©牧哲雄

このイーワーンを抜けると四角い中庭があるが、この四角形はイマーム広場の四角に対して45度ずれている。これはモスクをメッカの方向に合わせるため。この中庭の四方は入り口の大イーワーンとは別に4つのイーワーンで囲まれており、これをチャハル・イーワーン形式と呼ぶ。チャハルとは4を意味し、多くの場合この形式の中庭には泉があり、4つの水路が設けられている。これはコーラーンのいう天国の4つの川で、アダムとイブが住んでいた楽園を夢見て築かれたものだ(人類創世の物語は『旧約聖書』と同じ)。

南側のミナレット付きのイーワーンを抜けると礼拝堂に到着する。このドームの装飾もまた格別だ。特にドームの部分はタイルに絵が描かれているのではなく、一色一色のタイルを絵の形に削り込み、それをつなぎ合わせて造られている。そのコントラストは強烈で輝きは鋭い。文様をじっくり見ていたらいくら時間があっても足りない。それほどの装飾だ。 
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