世界遺産/中国の世界遺産

ラサのポタラ宮/中国(4ページ目)

標高3,650mに位置する聖なる都ラサ。今回は世界遺産「ラサのポタラ宮歴史地区」登録の3建築、神々の住まう宮殿ポタラ、ダライ・ラマの夏の離宮ノルブリンカ、チベット人が一度は巡礼を夢見る寺院ジョカンを紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

世界最高所を行く青蔵鉄道

ジョカンの屋上から見たポタラ宮。ラサのいたるところからポタラ宮を眺めることができる

ジョカンの屋上から見たポタラ宮。ラサのいたるところからポタラ宮を眺めることができる。もちろんラサの裏側にも回り込める

ポタラ宮へと続く階段。中は巡礼者よりも観光客が多い

ポタラ宮へと続く階段。中は巡礼者よりも観光客が多い

2006年7月1日、青海~チベットを結ぶ青蔵鉄道が開通した。

これまで陸路でラサに行くには、敦煌の南、中国青海省のゴルムド(格爾木)を通っていった。ゴルムドからラサに至るルートは「世界最悪路」と呼ばれた道路のひとつで、約1,200kmの道のりを30~50時間かけて政府公認のおんぼろバスで入らなければならなかった。標高2,800mのゴルムドから、わずか十数時間で約2,500mを駆け上がり、最高到達点はなんと5,200m。いつも洪水を起こしている場所や断崖絶壁もあって、転倒したり崖から落ちるバスも多いというから気が気でなった。青蔵鉄道は、ほぼこのルートに併走しているようだ。

 

こちらはポタラ宮から望むラサ市内

こちらはポタラ宮から望むラサ市内

この電車、ペルーのクスコを通る高山鉄道をおさえて、世界最高所を通る鉄道となった。高山病対策として、客車内の酸素濃度や気圧をコントロールする与圧設備付きの車両が導入され、酸素吸引設備も備えている。こうなれば高山病の心配も少なく、心置きなくチベットの景色を眺めることができる。

おんぼろバスで見た車窓はまさに絶景で、チベット人がヤクを放牧している様子や、高山植物、ラクダの群れなど、人々の生活や動植物を見ることができるほか、礫砂漠、砂砂漠、草原、林を経て、いろとりどりの塩湖、雪、永久凍土、氷河と、刻々と変化する景色に見惚れることだろう。

ラサへ向かう電車の始発駅は、北京(48時間)、上海(53時間)、広州(58時間)、成都(45時間)、西寧(20時間)、蘭州(24時間)。括弧内は予定所要時間だが、ゴルムドは昼に通過するよう調整される。青蔵鉄道についての詳細はツアー会社等に問い合わせよう。 
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