神が住まう宮殿ポタラ

薬王山白塔から見たポタラ宮。天にそびえ立つ姿はまさしく聖地。中央の赤い壁の部分が最高の聖所である紅宮で、仏殿や歴代ダライ・ラマの霊塔などからなっている

薬王山白塔から見たポタラ宮。中央の赤い壁の部分が最高の聖所である紅宮で、仏殿や歴代ダライ・ラマの霊塔などからなっている

ポタラ宮を見上げる。天にかかるその姿はまさに聖地

ポタラ宮は政治機能を司る白宮と、宗教機能を司る紅宮からなり、部屋数は千をゆうに超える ©牧哲雄

チベットは色が深い。標高4,000mに近い山の空気は限りなく透明で、強烈な太陽光は弱められることなく大地を照らし、岩の白や木々の緑、花の赤や黄が強烈なコントラストを描き出す。青空は宇宙の黒を透かして青黒く、吸い込まれるほどに深く、重い。そんな青空を切り裂くヒマラヤの稜線の下に、白と赤で構成された幾何学図形の威容を誇るポタラ宮がそびえ立つ。

ラサ観光のハイライト・ポタラ宮は7世紀にソンツェン・ガンポによって建立された。1642年にチベット政府ガンデンポタンが成立し、ダライ・ラマが政権を確立すると拠点をポタラ宮に定め、大幅な改築を行った。ダライ・ラマは観世音菩薩の化身、つまり神である。だからポタラ宮は神の家なのだ。

 

ポタラ宮は政治機能を司る白宮と、宗教機能を司る紅宮からなり、部屋数は千をゆうに超える ©牧哲雄

天に向かってそびえ立つその姿はまさに天空の城 ©牧哲雄

ポタラ宮の内部は荘厳華麗で、数え切れないほどの巨大な仏像、歴代のダライ・ラマの墓碑、金や宝石をふんだんに使った華麗な装飾や極彩色の壁画をはじめ、チベット美術の粋が詰まっている。その派手さ・美しさはジョカンの比ではなく、チベット美術の真髄を堪能することができる。
 

 

神の離宮ノルブリンカ

ノルブリンカのタクテン・ポタン。中にはダライ・ラマ14世が使った家具やレコード・プレイヤーがいまも残る ©牧哲雄

ノルブリンカのタクテン・ポタン。中にはダライ・ラマ14世が使った家具やレコード・プレイヤーがいまも残る ©牧哲雄

ノルブとは宝を、リンカとは庭を示す

ノルブとは宝を、リンカとは庭を示す ©牧哲雄

一方ノルブリンカは、ダライ・ラマ7世が1755年に建立した夏の離宮で、広大な敷地の中に西洋風の邸宅や公園、動物園など数多くの建築物を抱えている。

ダライ・ラマ14世はノルブリンカの中にタクテン・ポタンと呼ばれる宮殿を建築してここで暮らしていたが、1959年のチベット動乱の際、中国の人民解放軍の追跡を逃れるために密かにこの離宮を脱出し、インドへ亡命した。タクテン・ポタンにはダライ・ラマ14世が愛用していた数々の調度品がいまもそのまま収められている。

広大な園内でくつろぐチベット人や中国人の家族もたくさん見られ、避暑地らしいのんびりとした空気がチベット寺院とはまったく違う空気を感じさせてくれる。