無理でしょう、汁物とお酒のマリアージュなんて!
お味噌汁やお吸い物に、お酒、合わせますか?同じ水分同士だから、あまり考えたことないよねぇ。
宮城の伝統蔵、勝山酒造の「伝」には、兜のレリーフが |
さらに、液状のものにあえて液体のお酒を合わせる必要はないと、どこか無意識に思っているせいもある。
ところが、液体同士なのに、おいしいと感じる組み合わせがあるのだ。
お味噌汁やお吸い物などいわゆる和食に出される椀物と、米の風味が感じられる日本酒の組み合わせだ。
おいしいと感じるポイントは、アミノ酸たっぷりの「旨味」にある。和食の椀物には、鰹節や昆布、イリコの旨味が、繊細に、またときに凝縮して詰まっている。この旨味と日本酒のコクがじんわりといいハーモニーをかもし出すのだ。ほら、料理の隠し味に日本酒を使うでしょ。あれと同じことが口の中でも起こるわけ。そう、椀物に日本酒がプラスされることで旨味の輪郭がよりはっきりと浮き出てくるのだ。
甲冑をまとったイケメン日本酒、発見!
この液体同士の組み合わせに気がつかせてくれたのは、仙台の名酒蔵「勝山酒造」の『勝山 伝』だ。華やかさと純米酒ならではのふくよかさを併せ持つエレガントな逸品。720ml 5,000円 |
驚くことにお吸い物と日本酒を合わせたほうは、コクが増し味わいが深まり、後味に旨味の余韻が長く感じられた。こりゃすごい。なるほどつまり、汁物をつまみに日本酒を飲むと両方の旨味の骨格が浮き出るようになり、両方がおいしく感じられるのだ。
ポット入りのお吸い物を持参し熱心にお勧めしてくださるのは同社副社長の伊澤治平さん。副社長といえどもまだお若く、パリッと着物を着こなした和風イケメンだ。イケメン度合いにもやられたが、汁物と日本酒の相性がいいという発見ができたこの体験はちょっとしたショックだった。
この『勝山 伝』、第一印象は大吟醸らしい艶と華やかさが感じられ一見軽やかかと思うが、中盤から後半にかけては純米らしい落ち着きとボディーを楽しめる味わいの長いタイプ。どちらかといえば赤ワイン的な飲み方ができる清酒だと思う。和に限らず洋でも中でも汁物が組み込まれたコースに合わせてみたいお酒だ。
ボトルには、仙台伊達藩の鎧兜を髣髴とさせるような黒い刻印がありインパクトがあり、超カッコイイ。ちょっとしたパーティーや贈り物にもおすすめ。
■「勝山酒造」
仙台市泉区福岡字二又25-1
TEL 022(348)2611
FAX 022(348)2614