酒田の思い出

ふうむ、酒田、初孫と聞けば、私にとって忘れられない、大切で、そしてとてもおいしくて暖かい思い出がある。

酒田のフランス料理店「ル・ポトフ」というレストランだ。

おいしいもの好きなら読むべき本。
ここのオーナー故佐藤久一氏は、かの淀川長治氏に「世界一の映画館」といわしめた「グリーンハウス」という映画館を作った人。その豪奢な造りに地元はもとより全国の映画関係者の度肝を抜いたが、一転、すべてをなげうって東京に逃避。再度酒田に戻ったときに開いたのがこのフランス料理店「ル・ポトフ」だ。辻静雄、ポール・ボキューズに師事し、酒田の食材を使いながら贅沢な料理を採算度外視で提供した。
この佐藤久一氏、初孫の蔵元の息子である。

詳しくは、【世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田に作った男はなぜ忘れ去られたのか】(岡田芳郎著、講談社)にあるので、ご興味ある方はそちらを。

今となっては幻のレストランということになるだろうが、幸せなことに私は久一オーナーがご存命のときに一度レストランに行っている。久一氏自らサービスをしていただいた。

大きな大きなつぶ貝のブルゴーニュ風やしっかり子を持ったみごとなハタハタのムニエルは、いまだに忘れられない。酒田の、特に海の幸を生かしたどちらかといえば伝統スタイルの味わい深いフランス料理が本当においしくて、大ぐらいの私も最後にはまっすぐしては息ができないくらい豪快にいただいた。晩年の久一氏はきれいな白髪と白いコック服が印象的な優しい老人だった。

焼物にはお燗で。辛味大根はお酒とのいい仲介役。
「マキリ」が初孫とわかり、何合目かをいただいてほろ酔いのころ、そんなことを思い出した。

そういえば、吉田健一のエッセイ「酒肴酒」にも、この初孫がよく出てくる。
「ぜんぜん舌に逆らわない酒」であり、次から次へと出てくる海の幸山の幸の傍らにはいつも初孫があったというようなことがあちこちに登場する。

大きさもいろいろで便利。
お寿司屋さんで一升もいけてしまうのはまさに「舌に逆らわない」からだろうなぁ。

ともあれ、最近気に入っている銘柄で、うれしいことにネットでも購入できる。

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■「初孫」
   東北銘醸株式会社
   山形県酒田市十里塚字村東山125番地の3
 ・1800ml     2,481円
 ・720ml      1,244円
 ・300ml×6本  2,640円


え、お寿司屋さん?
ゴメン、それはまだちょっと教えられない。





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