焼酎/麦焼酎

あこがれの大分麦焼酎「兼八」を訪ねる(2ページ目)

行ってきました、あの「兼八」に。もう、めっちゃ好きやねん。あの香ばしさ、甘さ、バランスの良さ。ああ、たまらない。あの味わいの「秘密」を探ってきましたよ。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

熟成でがらりと変わった

シンプルだけどとても印象的なラベル。
お蔵に到着し、まずは四代目四ッ谷芳文さんとご挨拶し、続いて五代目四ッ谷岳昭さんにお話をうかがった。

「高知大学を卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)の大阪本社に就職しました。もともと家業を継ぐつもりはなかったんです」
なんと。

サラリーマンとしてもっと働きたかったとおっしゃる岳昭さんは現在39歳。1998年、大阪で結婚した奥様ともども地元に帰り、2000年から酒造りに入ったのだとか。お酒造りの勉強は、焼酎造りの一般教科書と父からの教えのみと聞いてびっくり。てっきり農大卒の業界エリート(っていうのか?)かと思っていた。

地元の人に愛される「宇佐むぎ」
もともとのブランドとして売っていたのは「栄花」と「宇佐むぎ」(現在も人気で空港などでも買える)。

兼八ブランドは1998年からあったものだが、当時悩んだのは、はだか麦使用なのに、二条大麦と味わいがあまり差がなかったこと。おまけに、はだか麦は大麦より小ぶりで歩留まりが悪く、マグネシウムやカルシウムが多く、でんぷん分が低いので、焼酎にするには扱いにくい。大麦は楽だし安価ですむ。はだか麦で造る意味がどこにあるのか、このままでいいのだろうか・・・という思いのまま、当時、原酒1万リッターあったものをそのまま蔵で寝かせることになった。

クリアな印象が強い原酒。バーカウンターにも似合うスタイリング。
ところが、この熟成で酒質ががらりと変わったのだ。

「昔からお付き合いのある地元の酒販店、田染荘(たしぶのしょう)の津田さんに、商品化しようとお声がけいただいたんです。それが最初のきっかけ」

ふぅむ、先見の明あり。味のわかる人というのはいるものなんですねぇ。津田さん、感謝ですよ、まったく。私たちに美味しい焼酎を飲ませてくれたのだから。(ありがたいことに、この夜、津田さんにもお目にかかれた。)
「現在、商品の8割が兼八です」と五代目。

淡い色がついた「森のささやき」。焼酎の色には規定があるとか。ウイスキーへの考慮。うう~ん、難しい問題がありそうだ。

「古代」は、宇佐むぎの原酒を樽熟。

四ッ谷酒造の全ラインナップ。「秘蔵」は兼八の10年原酒だ。


ちなみに「兼八 原酒」は2001年からの発売。
ええ、ええ、確かこの原酒もワインバーで取り扱わせていただきましたね。グラッパのように楽しめる商品です。

その後発売されたのは「森のささやき」。
兼八原酒を1年間、国産広葉樹の小楢(こなら)の樽で熟成させたもの。この「森のささやき」は、大分県焼酎メーカー7社が同ブランドで造っているもので、国産広葉樹の需要拡大→里山復活→自然環境保護→CO2削減・・・の効果を狙ったものだ。


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