日本酒/酒造、酒蔵訪問

山形「十四代」蔵元、高木酒造を訪ねる(3ページ目)

あの!十四代蔵元、高木酒造へ行ってきた。当主高木辰五郎氏と十五代顕統氏に、お話をうかがいお蔵を拝見してきた。驚くべき新事実も公開だ。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

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印象的な箔押しラベル


暗いところでも目立つ文字。これを真似する蔵もある。
それにプラス、お酒屋さんや料理屋さんで見かけるとぴかっと光って思わず目に留めてしまう、あの緑や紫の蛍光文字ラベル。すごく印象的ではないか。

「あれは箔押しなんですが、お酒の取り扱いに気を使うお店は、たいてい冷暗所とか冷蔵庫のようなところにお酒を置いてくれるんです。だから、そういう場所にあって、いかに目立たせるかってことを考えたら、あれになったんですよ」と。今おもに流通しているのは4、5種類だが、最初に作った緑バージョンは思い入れが強いと語る。

ビカッと光って目立つけれど、決していやらしくなく、逆に品よく見えるのは色のセレクトのせいだろうか……。文字のデザインのせいだろうか……。このあたりも十四代人気をになう顕統氏ならではの感性なのだろう。

「伊勢丹で働いていたころはちょうど淡麗辛口ブーム・新潟酒ブームのころ。あのブームを経て杜氏さんと入れ替わりに蔵に戻ったわけですが、一年早かったら淡麗辛口に巻き込まれていただろうし、一年遅くても今の味は造れなかったでしょうね。十四代の味が生まれたのは、ほんと、タイミングが良かったからなんです」とかざらずに語ってくれる表情には、苦労しながらも十四代を日本酒の代表銘柄に仕立て上げた自信が垣間見えるようだ。

お酒造りは自然界の曼荼羅


今の人気の裏には「秘伝玉返し」や「七垂二十貫」の優れた技術があったからこそ。
「お酒造りは自然界の曼荼羅」と語る辰五郎氏。

昔から酒蔵が村の神社を造り、お神酒をささげ、そこにまた米が集まった。この流れはまさに自然の輪廻。この流れが狂い始めていることに不安を感じると氏。

また、尺貫法がメートル法に変わってしまった(昭和34年)ことも実は問題とおっしゃる。酒造りは何百年ものあいだ、蔵独特の数字や言葉を使って仕事をしてきた。酒屋にとって数字は大切。それを無理にかえられたので、職人はついていけずやめてしまった。つまり酒文化を失ってしまったことに通じる。残念なことだとうつむく。
酒造りと政治をあわせて行ってきた辰五郎氏らしい見解である。


蔵は十四代当主の住まいでもある。外は歴史を感じるが中はいたってモダンな造り。
入り口と煙突に書かれている「NO SMOKING」の文字は十三代目が書かれた。相当なグルメで粋な方だったとか……。
25メートル地下からの湧き水。とてもなめらかな味。酒造りも生活水もこれ。水道はなしだ。

奥に見える建物が、13代目が自分の土地の杉の木で作った離れ。ときにはここで宴会も行われるとか。







さて、今回はここまで。「続報!山形『十四代』蔵元、高木酒造を訪ねる」は、気になる高木酒造の酒蔵見学レポートを掲載!蔵での酒造り全体を取り仕切る顕統氏の案内のもと、お蔵の中を拝見しよう。
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