オリエンタルでモダンなスタイリング
『十四代 龍泉』表側 |
正倉院に飾られてもいいほどといっては大げさかもしれないが、その昔ペルシャからシルクロードを経て渡来したオリエンタルガラスの酒器のようではないか。古いけどモダン!なデザインと色あいに惹かれる。
『龍泉』といえば、中国青磁のふるさとの街の名前でもあったり、日本三大洞窟の龍泉洞も知られている。どちらにしても美しい「青色」をイメージさせる。この『十四代 龍泉』も杯に注げば、深く青く透きとおった色を楽しめるが、不思議な偶然だろうか。
酒造好適米は『龍の落とし子』
中身は、『龍の落とし子』という聞きなれない原料米を使用した「大極上諸白(=大吟醸)」。この『龍の落とし子』は、高木酒造社長、高木辰五郎氏が1999年、美山錦と山酒4号 を交配して育種した酒造好適米なのだとか。新酒の、もしくは今は使われなくなった昔の酒米を、魅力的なお酒に生まれ変わらせる技術にたけた高木酒造の、まさに本領発揮の銘柄だと思う。
この『龍の落とし子』を高精米し、ゆっくりと低温発酵させ、丁寧に雫取り斗瓶囲いし、氷温熟成している。
毎年造られるわけではないらしいし、これだけ手間暇かけているし、あのスタイリングのボトルだ。もちろん人気の「十四代」。希少価値が高まるのもわかる。レアものショップやネットオークションでは4万円、5万円の値付けはあたりまえ。なかには50万、60万、いや100万円だという話まで出ている、もうまさに本格的なプレミア商品である。
思わずもう一杯!
『十四代 龍泉』裏側 |
実際に飲んでみた時の感想は、まず清らかでなめらかな第一印象。きめが細かい絹のようにしなやかな舌触りで、上品な大吟醸の華やかさを堪能できる。
中盤から後半にかけて十四代らしいしっかりとした旨味と骨格が感じられ、後味にふうわりと甘さが残り、清涼感が喉の奥にひろがる。単純に美味しいと感じ、思わずもう一杯という声が出てしまった。
いろんな価格帯の日本酒があっていい!
もともと手頃な価格で身近な日本酒だけに、1万円を越すととても高く感じる。しかし、ワインなら結構ざらにある金額ではないか。正直1万円に見合わない内容のワインだってざらにある。1万円でも5万円でも、50万でも100万でも、いろんな価格帯の日本酒がでてきていいと思う。その内容に見合うもの、もしくは、飲み手を楽しませてくれる何かがあるなら大いに結構だと思う。
オークションでの高値もまあ認めたい。ワインのオークションは絵画やジュエリーや調度品などと同じ文化価値観でワインを見ているのだから(もちろん、買える人が買ってくださいということではあるが;;;)。
そこから、日本のお酒の文化度が高まり、広がるはずだ。
ますますヘビーユーザーが減っていく時代の日本酒の生きる道は、そのあたりではないかと思っている。
ま、とはいえ、新春。
酉年だけど、お酒は龍で。
日本酒応援団として、2005年もたっぷり日本酒を飲むぞと心に誓いおめでとう&乾杯です。
■高木酒造 0237-57-2131 十四代 龍泉 大極上諸白 720ml 14,000円 |