日本酒/酒造、酒蔵訪問

大人気『開運』名杜氏、波瀬正吉さんに会ってきたぞ! 静岡うまい酒、うまいもん探訪(2ページ目)

高田馬場「真菜板」のご主人と静岡の銘酒『開運』(土井酒造)におじゃました。あの名杜氏、波瀬正吉さん会ってきたぞ!「能登流 開運 波瀬正吉」のうまさの秘密を聞いてきたぞ!

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド



蔵見学。これが精米機の中身
その後、「いろいろ飲み比べしながら、おつまみをつまんでください」とおっしゃる土井社長と波瀬さんを交えて飲み会に突入。

山田錦100%の『大吟醸』は静岡酵母と島根9号酵母使用で、なめらかで艶があって上品な仕上がり。これには皮がパリっとしている甘味のあるトマトがすごくよく合った。そう、野菜や果物だって日本酒に合うんだよ(おおぶりの苺も意外に日本酒に合う)。
山田錦5割精米の『純米』は、しっかりとした米の旨味がある濃いめの仕上がり。生姜とネギたっぷりのカツオのお刺身と合わせる。季節先取り感がうれしい。

洗米機。これは外においてある
同じく山田錦5割精米の『吟醸』はドライで引き締まった味わいが特徴。らっきょうやからし菜のおひたしがいい。春野菜の滋味が身体に沁みるようだ。
雄町の『純米吟醸』はコクと苦味がポイント。ホタルイカのスルメ(参加者が持ってきたものか!?)が、もっのすごーく合いました。あれまた食べたいなあ。ご存知の方いたら教えて~。

「毎晩飲みますよ。たいてい常温」とおっしゃる社長と、質問攻めにあいながらも丁寧に説明した下さる波瀬さん(実はお酒強いらしい)をかこみ、ますます宴会は盛り上がりムード。

麹禽。玄米に麹をつけているのだとか
すると、日本酒通が泣いてよろこぶ『無濾過 純米 生』がでてきた。
山田錦100%、精米歩合55%。アルコール18度。あえて原酒とか書かないのが社長のポリシー。原酒と表示すると何か強いイメージがつきすぎてしまうからだとか。さらに「温度管理のできる問屋さんじゃないとお売りできない商品」とおっしゃる。難しいけど、飲み応えのあるアイテムだ。「微妙な温度管理をして、年内はなるべく早いうちから、年明けはなるべく5月6月と遅くまで、造りたいと思ってます」と無濾過ファンにはうれしい言葉も聞けた。

そして、ほろ酔い機嫌の社長が最後に手にしたのは『御日待家(おひまち)』と名付けられたボトル。

ヨーグルトのような「酒母」
今はもう非売品になったアイテムで、福の光という品種78%、山田錦22%の本醸造生原酒だ。御日待家(おひまち)とは3人以上で飲みましょうと意味だとか。ほんの少し発泡しているような口当たりで、とてもドライ(日本酒度+12だった!)。これなら酒好き仲間と語り合いながら、のんびり飲みつづけられそうな味わいだ。ま、でも、非売品だからな…。

あれこれ飲み比べしているうちに、社長はじめ、波瀬杜氏、真菜板ご主人も、みんなみんなご機嫌でお開きとなった。
みなさま、お世話になりました。ありがとうございました。


開運のおめでたい包み
不況の時にこそ売れる酒といわれる『開運』の強さは、ブランド名のよさだけではなく、名杜氏の技量と技量を十分に生かす社長の思いが重なってこそなのだと、お訪ねしてよくわかった。

この日、春雨に濡れる八部咲きの桜を見ながら、『波瀬正吉』をいただくという最高の花見をやらせてもらったけれど、実は、このお酒、青葉まぶしい初夏にこそ似合うのではないかと思った。

柔らかいながらも清冽で力あふれる味わいは、風薫る季節、若葉が躍動する今、より生き生きとその魅力の葉脈を広げていくような気がする。
これからの季節、是非おすすめしたい日本酒である。



■株式会社 土井酒造場 0537-74-2006
  『能登流 開運 波瀬正吉』 1.8L  10,500円
                  720mL  4,725円

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