第2回となる今回の『酒の器・展』は、全国から463名の出品者、747点の出品点数という大人気のコンクールとなった。
テーマは、「新世紀、新しいライフスタイルの提案」。デザイン性だけではなく、実用性を重視しながら、食とのかかわりを考え、豊かな生活に寄与することを目的としている。福井県出身であり、日本酒のプロということで、毎年審査員に名を連ねさせていただいているのだが、今年の受賞作品は、いやいやマジで、おもしろいですぞ。
まずは写真でご覧いただこう。
大賞の『白いタンク』
        大賞の『白いタンク』
どうです、インパクトあるでしょう。荒削りな氷細工のようにみえる外見に思わず引き込まれるし、「え?一体どうやってお酒を注ぐの?」という疑問がふつふつと湧いてくる。
これが創作の森大賞に輝いた作品。題して『白いタンク』(素材はガラス)。
作者は塚村剛さん(東京都)。一見デビルマンに変身前の不動明(ハハハ、知ってる人だけ納得してください)のような風貌の33歳だ。
「ゲテモノ扱いされるのではと思ってました」というだけあって、デザインの意外性はかなりのもの。高さ30~40センチほどのものだけど、存在感がある。使い方はこうだ。上のタンクにお酒を注いで、タンクの下に杯を置く。栓を引き抜くとジュボボボ~っとお酒が滴り落ちてくるという仕組み。あるようでなかった作でしょ。
これが、お酒の席にひとつあったら、おもしろいだろうなあ。お酒飲みのだいの大人が、オロオロするだろうなあ。できるならもっと大きなものがあってもいいなあ。
「でも、あれ一体作るのに結構手間がかかるんです」とデビル塚村さん。「ガラス陶芸作家ですが、それで生きていくのはまだまだ難しい。今回の受賞は正直うれしいです」とチャーミングな笑いを浮かべる青年であった。荒々しさが魅力のこのタンクには、しぼりたての「あらばしり」いれて、新酒をみんなでワイワイ楽しみたい。
ちなみにタンク70,000円。杯10,000円。一般購入可だ。
創作の森金賞作品は『ゆらゆらの酒器』。
金賞の『ゆらゆらの酒器』
      金賞の『ゆらゆらの酒器』
作者は長坂結子さん(石川県)。日本酒好きの金沢美人だ。25歳の若さ。
落ち着いた漆の作品で一見地味だが計算されたデザインが評価された。通好みの逸品と言ったところだろうか。彼女が好みだという「天狗舞」をいれて、ゆらゆらとゆっくり楽しみたい。
器12,400円。ぐいのみ3,600円。
創作の森銀賞作品は『雫』。
プロとして活躍している26歳、山田亜晃正さん(愛知県)。
銀賞の『雫』
        銀賞の『雫』
審査中にも、んんん、この洗練具合はアマチュアではなくプロの仕業(別に悪いことしたわけではないが)だなと睨んでいたとおり、バランス、全体の印象、質感、プレゼンテーションがお見事。
この繊細な磁器には文字通り「雫酒」を合わせたい。モロミの袋から滴り落ちる雫だけを集めた希少価値の高いお酒がよさそうだ。器8,000円。杯1個3,000円。
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