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預け合えば、お互いにハッピー! プレイグループ、始めてみない?

育児中だからこそ、たまには子どもと離れてリフレッシュしたい。でもベビーシッターに預けるにはお金がかかり過ぎる・・・。そんな悩みを解決する「預かりあい」について、ご紹介します。

執筆者:吉森 福子


育児中だからこそ、たまには子どもと離れてリフレッシュしたい。でもベビーシッターに預けるにはお金がかかり過ぎる・・・。そんな悩みを解決する「預かりあい」について、ご紹介します。

子どもを預けるには、お金がかかり過ぎる!

母親が3~4人が集まって、お互いに子どもを預かりあえば、お互いに自由な時間が持てる(写真は「預かりあい・あいあい」にて)。
未就園児の育児に追われる家庭では、母親は「ほんの少し」の休息さえとれない日々を送っているのが実情です。たまには外でのんびりコーヒーを飲んでみたい・・・。そんなふうに思っている母親も多いことでしょう。

日本の認可保育園は、基本的に「母親が就労している家庭の子ども」が対象になっています。近年「専業主婦家庭への子育て支援」の必要性が指摘されるようになってきましたが、認可保育園自体がまだまだ不足している現状では、専業主婦家庭を対象とした「一時預かり」を行う公的施設のある自治体は多くありません。

もちろん、民間のベビーシッターなら理由を問わずに預けることができます。しかし、民間のベビーシッターを頼むと、1時間1500~2500円前後かかってしまいます。「ゆっくりコーヒーを飲む」だけのためにこれだけ支払うのは、少し躊躇してしまいます。

ファミリーサポートセンターなら1時間800~900円前後ですが、それでも多くの専業主婦家庭にとっては敷居が高く感じられてしまう金額です。「自分で子どもをみればタダ」と思ってしまうと、なかなか踏み出すことができない、というのが実感だと思います。

カナダでの取り組み「プレイグループ」とは?

数年前から日本の子育て支援に関わる人々に注目されているのが、カナダの子育て支援です。そんなカナダの「子育てが楽しめる仕組み」について詳しい著書が、1999年に出版された小出まみ氏『地域から生まれる支えあいの子育て』。この本の中で紹介されているカナダの子育て支援の具体例のうちのひとつが、「プレイグループ」と呼ばれる仕組みです。

「プレイグループ」とは、幼稚園・保育園などに通っていない子どもと母親が3~4人のグループになり、順番に母親の1人が3~4人の子どもたちをまとめて面倒をみる、というもの。というと大変に感じられるかもしれませんが、1回あたりの時間は2時間程度なので、午前中など子どもの機嫌のよい時間帯であれば、そう無理なことではありません。

そして母親にとっては、「1日がんばれば、あとの2~3日は自分の時間が確保できる」ということがメリットです。カナダでは、「子育て中の母親が子どもと密着し過ぎることはストレスになりやすいので、たまには子どもと離れて息抜きをすることが必要である」という認識が定着しています。そのため、プレイグループのような取り組みが進んでおり、行政からも推奨されているのです。

日本で「プレイグループ」が広まらない理由

無料で自分の時間が持てる。「プレイグループ」の試みは子育て中の母親たちにとっては理想的な仕組みに思えますが、日本ではまだ一般的なものではありません。

日本でプレイグループが広まらない理由のひとつは、住宅事情にあるのではないでしょうか。特に都市部の若い夫婦では、子ども1~2人でさえのびのびと遊ばせることのできないマンションやアパートや暮らしという方が大半でしょう。「とても、3~4人集めて遊ばせることのできるような部屋は用意できない」という声が聞こえてきそうです。

また、「子どもにケガをさせたりしたら、大変!」というのも躊躇してしまう原因です。最近は、保育園や幼稚園でも「子どものケガ」について敏感な保護者が増えているという指摘があります。そんな中、もし自分が預かっている間によその子にケガをさせてしまったら・・・と思ってしまうのも、無理はありません。

それから、「やってみようよ!」と言い合えるような、母親どうしの関係作りが難しいという現状もあります。人により、家庭により、子育て方針が異なる現在、共通のルールを自分たちで作っていく余裕は、子育て中にはなかなか持てないでしょう。

品川区で活動する「預かりあい・あいあい」の実践

そんな中、日本版プレイグループとして「預かりあい」を行っているサークルがあります。品川区で活動を行っている、「預かりあい・あいあい」です。「未就園児(幼稚園に入る前の子ども)と、その母親」で構成されており、「3~4家庭で1グループ」という形式で、プレイグループを実践しています。

ここの活動で興味深いのは、カナダのやり方をただ再現しているのではなく、日本の実情に合わせてアレンジしているところです。その最も重要な点は、「区の児童センター(児童館のような場所)を利用させてもらい、そこで活動している」ということ。なるほど、児童センターなら場所も広く、おもちゃや絵本もたくさんあるので、保育のプロではない母親たちだって何とかなりそうです。

人数も違います。カナダでは基本的に「複数の子どもを母親1人でみる」という体制でしたが、「あいあい」では「母親2人で複数の子どもをみる」という方式を採用しています。心配な「子どものケガ」については、もちろん担当となる母親自身が最大限の注意を払っていますが、さらに保険(年額500円・その他運営費としてプラス100円を集めている)にも加入して、万が一の事態に備えています。

そして、日本ではまだあまり馴染みのないこの取り組みを円滑に進めるため、先輩ママであるボランティアスタッフがサポートしているのも大きな特徴です。「預かりあい」がまだ慣れないとき、子どもやママの病気など急なお休みのときにサポートとして入ってくれます。母親どうしだけでのこうした取り組みは何かと難しくなりがちですが、こうした少し違う立場の人が関わることで、運営がスムーズになるのです。

「預かりあい・あいあい」が活動を始めたのは2004年春。順調にメンバーを増やして運営されているようです。

「預かりあい・あいあい」についての詳しい様子は、こちらから

「自由な時間」以外に得られる、大切なこと

「プレイグループ」によって得られるのは、「母親の自由な時間」だけではありません。子どもを「預かる側」になることは、単なる労働力の提供ではなく、実は子育て経験の幅を広げる貴重なチャンスなのです。

・・・もう一つの利点はよその子どもを見ることで母親の自信と理解が増すことだ。一般的な子どもの育つ道筋が見え、同時に一人ひとりの育ちは必ずしもその通りにはいかないことなどが見えてくるし、わが子を違った文脈で見ることで新たな見方もできるようになる小出まみ氏『地域から生まれる支えあいの子育て』に紹介されている、カナダの研究者フレデル・メナード氏の言葉)。」

こうした「預かることのメリット」までを考慮に入れると、この取り組みの意義がさらに高まってきます。最初は少し大変に感じられますが、思い切って自分たちで始めてみれば、新たな世界が広がるかもしれません。

「預かりあい・あいあい」についての詳しい様子は、こちらから



■取材協力
あいあい*品川で楽しく子育て★預かりあい★

■参考文献
小出まみ 『地域から生まれる支えあいの子育て―ふらっと子連れでDrop‐in!』 ひとなる書房 1999年

■関連サイト
日本版プレイグループ・あいあい【幼稚園・保育園】
専業ママでも子どもを預けたい!【幼稚園・保育園】
【編集部おすすめの購入サイト】
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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