ギリシャは世界屈指のチーズ消費国

チーズ作りが盛んな国といえば、まずはフランスを思い浮かべるが、歴史を紐解けば、フランスよりもはるか昔からチーズと密接な関わりをもっていた国はたくさんある。

モンゴルのチーズ
素朴さあふれるモンゴルのチーズたち
チーズの誕生は、一般的には6000~8000年前に人類が家畜を飼い、そのミルクを飲むようになったことから始まる。ミルクを容器にいれ、放置したらそこに自然の乳酸菌がはいり、偶然にもミルクがヨーグルト状に固まった。これがチーズの始まりだといわれている。

ただ、当時牧畜は、中央アジア(現在のモンゴルあたり)や中近東など複数の地域で営まれていたことから、チーズの発祥地は特定できないようだけれど。

アラビアの民話にこんなエピソードがある。
「砂漠を旅する商人が、乾燥した羊の胃袋でつくった水筒にミルクを入れ、
らくだの背中に揺られて歩いていたら、飲もうとしたときに、ミルクが透明の液体と白い塊に分離していた。
白い塊をおそるおそる口にすると、いままでに食べたことのないような素晴らしい味であった。」

ミルクを白い塊に変貌させた正体とは、羊の胃袋に含まれるレンネットと呼ばれる凝乳酵素。このレンネットを使った製法は中近東からギリシャに伝わり、そしてヨーロッパ各国へと広がった。これが現在のヨーロッパチーズの基礎となったのである。

ヨーロッパのなかでも、中近東と中央アジアで発祥したチーズ技術を上手く取り入れたのが、ギリシャである。ギリシャのチーズ文化は古代文明のなかですくすくと育ち、ギリシャの叙事詩「オデュッセイヤ」のなかで、“チーズは力と美の源”とも謳われ、オリンポスの神々への供え物として捧げられるなど、重要な位置を占めていたようである。

ギリシャ人が愛してやまないチーズ「フェタ」

そんなギリシャで、最も人気のあるチーズは、なんといっても、羊や山羊のミルクから作られる「フェタ」である。フェタは、紀元前からの製法を引き継ぐ、歴史の古いチーズのひとつ。見ためは木綿豆腐のように真っ白。香りはおだやかで、フォークをさすとポロリとくずれる食感。その味わいは実に素朴である。

フェタ料理
フェタを使ったギリシャ料理(ギリシャサラダ&フェタチーズとほうれん草のパイ)。

素朴だからこそ、食べ飽きない。ワタシはそんなところが気に入っているのだが、フェタは製造過程で高濃度の塩水を使うため、食べるときは塩抜きをしなければないないのが玉に瑕。ちょっとめんどうだなぁ。そんなふうにおもっていた。が、それも昔の話。高い塩分濃度のチーズを作らなければならなかったのは、いままで缶で保存するからであり、真空技術が取り入れられ、冷蔵庫が普及した現在では、塩分濃度をおさえることが可能に。穏やかな味わいのフェタが販売されるようになった。

個人的にフェタは好きなチーズなので、見つけると色々と口にするのだが、製造元によって、その味わいはさまざま。ギリシャに限らず他の国でも作られていますしね(ただし、正式に“フェタ”と名乗れるのはギリシャ産のみ)。私が出合ったフェタのなかで、ぜひ!と思うものがありましたのでご紹介しますね。