しかし、本来のスタイルで作られた皮はやっぱり旨いものだ。他のチュニジア料理店で使われている春巻きの皮に比べると、その違いは歴然。食べたときに口当たりがサクッと軽やかで、中の具材とも優しく絡み合う。さすがのバランスだ。ブリック好きだったら、ぜひ一度食していただきたい。いえ、食すべきだ、と思ってしまったほどである。他ではまず味わえないブリックだろう。
細かい作業も惜しまず丁寧に作られるお菓子たちは、旨さもやっぱり違う! |
特に目を見張るのはデザート。アラブ諸国で定番のナッツパイ「バクラヴァ」。これは生地から手作りし、ゆっくりと焼き上げる。トルコではピスタチオを使うが、チュニジアではアーモンドをたっぷりと。
生のアーモンドを茹でて皮をむき、砕いてから使用。仕上がったバクラヴァは、上にかけるシロップが少なめなので、軽い味わいで、生地がパリッパリ。やはり手をかけたものは、それだけの結果がでるものである。旨い!
ほかにも「ヨーヨー」というサクサクのドーナツのような生地にレモンシロップを含ませたものや、これ1個で1週間分のごまを摂っているんじゃない?なんて思ってしまうほど、ゴマがびっしりと詰まった「サモサ」など、魅力的なアラブのお菓子たちがズラリと並ぶ。このお菓子たちだけでも、いやはや時間のかかる作業である。しかし、訪れる客にとってはうれしさこのうえない。
トマトソースにターメリックの香りがアクセント。素揚げしたラム肉のミートボール「ブナダク」。 |
そんなオーナーの強い想いが反映された、手作り感にあふれた店である。
店内もオーナー夫妻が丹念に手を入れたというだけあり、チュニジアの風が感じられる心温まる空間。
奥ではチュニジア人女性たちがせっせと料理を作っていて、そんな姿もまたご馳走のひとつだ。
ひとたび扉を開けると、そこは別世界。チュニジアの爽やかな風がそっと肌にふれ、時間を忘れてしまうほど居心地がよい空間だった。
いまはオープンしたてということで、すべて手作りにこだわっているが、はたして今後もこのまま手をかけていけるのだろうか。かなりの激務のようだし・・・と少し心配になってしまうが、一客としては、大変なスケジュールだと思うけれど、このままの味をぜひ提供し続けてほしい、そう願っている。
ピリッと辛みがきいたグリル野菜のペースト「サラダメシュイヤ」 |
お店の場所は、志村坂上駅から徒歩3分ほど。“えっ、志村坂上駅?何線?ちょっと遠いんじゃないの?”と思われたあなた。ワタシも最初はそう思いました。でも、行ってみるとこれが意外にも近くてビックリ。都営三田線の巣鴨駅から電車でほんの10分ほど。しかも駅チカ。わざわざ足を運ぶ価値があるお店だと思いますよ。ぜひ一度!
※2012年5月加筆 現在はオーナーであるチュニジア人男性の奥様(日本人)が本場の味を提供しています。
■ブラッスリー ジェルバ
扉を開けるとチュニジアの爽やかな風が迎えいれてくれる。 |
TEL:03-6786-6187
営業時間:11:30~14:00 17:30~24:00
定休日:日曜
交通・アクセス:都営三田線志村坂上駅から徒歩3分ほど。
地図:Yahoo!地図情報