突然、一通のメールが届いた。「時には夫婦で会話を楽しみながら、とびっきりの料理が食べられる、デートレストランを紹介していただけませんか」というオールアバウトの
マガジン「ForF」からの依頼だった。
レストランを選ぶうえでの条件は、料理の味はもちろん、オシャレをして行きたい店であること、客層が比較的高めの店であること・・・などなど。いわゆるエスニック料理といわれる店は、とかくカジュアルな店が多いので、数年前だったらどの店にしようか悩んでいたところだが、今回は“あの店にしよう!”とすぐに決まった。
「SITTARAシターラ」。今までのインド料理店とは、味、雰囲気などあらゆる点において一線を画す、いま最も注目したい洗練されたインド料理店だ。
フレンチやイタリアンと同じように使える
高級インド料理店「SITTARAシターラ」
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オープンは2004年8月。客層は30歳代以上と高め。「おいしいインドの店の条件は?」と聞かれたら、わたしは迷わず、“豆カレーがおいしい店”と答えることに決めている。
理由は単純。豆カレーがおいしければ、ほかの料理を頼んでもまたおいしいから。それに、豆カレーはマトンカレーやチキンカレーのような派手さはないけれど、その店の味の基本がよくわかるし、シンプルな料理ほど料理人の腕だけではなく、心までもあらわれるような気がするから。わたしの中では、これはかなりの確率であてはまる、おいしい店の法則ではないかと思っている。(勝手に・・・)
このシターラも、もちろん豆カレーは旨い。しかも種類が豊富。この豆カレーだけとっても、店の確固たる信念がうかがえるのだが、今回はこの店のカラーがよく出た料理にスポットをあてて紹介したいと思う。
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店内は装飾を排した清潔感ただよう空間。店は43席。表参道駅から歩くこと5分。小原流会館の地下1Fに、シターラのセンス溢れるエントランスが現れる。地下1Fフロアは薄暗く、歴史を感じる建物なので、ちょっとオシャレして出かける店としては、エントランスにたどり着くまでに店への期待感が半減してしまうかもしれない。
がしかし、ひとたび店内に入れば、あまりのスタイリッシュな雰囲気に、一瞬インド料理店にきたことを忘れてしまうに違いない。実にセンスがよく、日常生活をリセットさせてくれるようなシックな空間が広がっていて、足を踏み入れたとたんに、気持ちがキュッと引き締まる。