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シャルトル大聖堂:フランスが誇るゴシック建築の傑作(3ページ目)

深い森を思わせるゴシックの荘厳な空間に舞い降りる青い光。この不思議な光をもたらすステンドグラスは再現不能といわれ、人々はその奇跡的な青を「シャルトル・ブルー」と称賛した。今回はゴシック建築の基礎知識と共に、パリから1時間で訪れることができる世界遺産「シャルトル大聖堂」の見所・観光情報・歴史を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

唯一無二のステンドグラス群

北ファサードのバラ窓

聖母のように温かくやさしい北ファサードのバラ窓。各ファサードのバラ窓は、それぞれ独自の主題を持っている

ロマネスク建築が混ざる外観に比べ、ステンドグラスの色彩あふれる内部はまさにゴシックの空間で、それゆえシャルトル大聖堂の真髄はステンドグラスにあるとさえ評されている。

全173作品あるステンドグラスのほとんどは11~13世紀前後のもので、この時代のステンドグラスはのちの宗教戦争や世界大戦で多くが失われてしまったため、当時のステンドグラスで覆われた極めて稀有な聖堂なのだ。
南ファサードの内部、「柱の聖母」

南ファサードの内部。下が「柱の聖母」。シャルトル大聖堂には聖母マリア像がいたるところにある

ガラスの技術はその後急速に進歩してより明るくなったが、逆にシャルトル大聖堂のような深みのある色はなくなり、同じ色は二度と出せないかもしれないといわれている。特にその青の美しさは比類なく、それゆえ「シャルトル・ブルー」という固有名詞がつけられた。

このような場所では作者の意図通り、ただ空間を感じたい。上へ上へ引き上げられるような浮遊感、闇にきらめく光のたゆたい、全体を統一する青の清浄さ。教会堂とは、一つひとつの建築がどうこういう以上に、神との交流の場であり、神を感じる空間なのだ。 

シャルトル大聖堂の歴史

シャルトル大聖堂の西ファサード

カトリックの大聖堂はたいていラテン十字形(下が長い十字架型)で、十字架の下を日没の西、十字架の頭を日が昇る東に合わせて造られている。しかし、このシャルトル大聖堂は南西を向いている

さて、シャルトル大聖堂の歴史を振り返ってみよう。

もともとシャルトル大聖堂のある場所には古くから教会堂があったようだ。一躍有名になったのは、876年に西フランクの国王シャルル2世が大聖堂に「サンクタ・カミシア」を贈って以来。これは聖母マリアが大天使ガブリエルにイエスを身ごもったことを伝えられた「受胎告知」の際に着ていたといわれる青色の聖衣だ。
サイドから見たシャルトル大聖堂

サイドから見たシャルトル大聖堂

シャルトル大聖堂は、正式には「カテドラル・ノートル - ダム・デ・シャルトル」といい、ノートル - ダムは「私たちの貴婦人」、つまり聖母マリアを示す。「聖母に捧げられたシャルトルの大聖堂」という意味で、それゆえ大聖堂内はマリアの彫刻やステンドグラスにあふれている。フランス中から聖母に祈りを捧げ、ひと目サンクタ・カミシアを見ようと巡礼者が集まってきたという。

しかし1194年、大聖堂は大火事に見舞われ、西側の塔などを残してほとんどが消失してしまう。この火事で聖衣も燃えてしまったと思われていたが奇跡的に残り、このためますますマリア信仰が高まることになる。

こうして大聖堂再建の機運が高まってフランス中から寄附が集まり、また地元の多くの住民が再建を手伝ったことで、わずか20数年で完成したのが現在のシャルトル大聖堂だ。建築家の名前は伝わっていないが、当時全盛を迎えたフランス・ゴシックの集大成といえるものとなった。
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