イスラームというと、非寛容で少しキケンなイメージを抱くかもしれないが、モロッコを訪問すればその印象はきっと変わるだろう。少なくとも私は変わった。
今回、数人のモロッコ人からじっくり話を聞く機会があったのだが、彼らはとても寛容だと感じた。お酒を飲む人がいても、民族衣装を着ていない人がいても、「人は人。自分は自分。それは神と個人との間で決めること」という考えから、決して他人の判断に異議を申し立てることはないし、軽蔑もしていないようだった。あくまでも個人を尊重しているのだ。
彼らはみな、共通してこんなことを言っていた。
「ラマダン(断食)は、貧しい人の気持ちと食の大切さを実感できる重要なとき」
私たちが失いつつある大切なものが、ここには今でもしっかりと引き継がれているように感じられた。
「ラマダンのときはお腹が空くとおもうのですが、イライラしないんですか?」
と聞いてみると、
「しないですよ、お腹は空くけどね。逆にいつもよりもやさしい気持ちになれるかな」という言葉が返ってきた。
すべてのイスラム教国に共通してることではないかもしれないが、少なくともモロッコはたくさんの笑顔と不思議に包まれている国だ。
それは料理にも反映している。見た目は豪快でありながら、温かさに満ちた心温まる味、そしてシンプルな見た目から繰り出すパワフルな味。と、実にさまざまな顔を持っている。
今回は後半少し難い話になってしまったが、「食」を紹介する前に、私が感じた食以外のモロッコを、少しだけでも頭の片隅に置いておいて欲しいという想いで綴ってみた・・・。
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