フレンチ/東京のレストラン

対談 ~アロニア・ド・タカザワ~(4ページ目)

「アロニア・ド・タカザワ」の高澤シェフとの対談記事です。シェフが料理をはじめたきっかけや、普段は聞けない裏話などを、こと細かくご紹介します!

執筆者:来栖 けい


素材の力強さ!

来栖:尊敬する料理人にはいますか?

高澤:料理人…そうですね。ボクが好きなのは「なかひがし」さん。土地の野菜を素材として使っている、そこでしか食べられないものを使い、素材の力を大事にする、という点が、うちのコンセプトと似ているので、共感する部分はありますね。

来栖:本当に雑草みたいなものも出てきますよね。でもそれが本当においしいんですよね。

高澤:素材も、力強さがあるんですよね。素材の力、というのが山のものはとても強くて。しかもなかなか傷まないんですよね。

来栖:シェフが使っている野菜はどこのものなんですか?

高澤:長野、新潟が多いですね。両親はこっち(東京)で商売をやっているんですが、祖母と兄がまだ向こうにいるので、送ってもらっています。うちは料理人の家系なんです。

来栖:それは影響ありましたか?

高澤:やっぱりありますね。キャリアというわけにはいきませんが、ファミコンではなく餃子を握っていた、みたいな。小さい頃の記憶は、お店で育っていたんですね。お客さんのいるところで。外食産業の中に生まれた頃からいた、というのはどこかにあると思うんです。両親も忙しかったんで、幼稚園の頃からラーメン屋に連れていかれて、500円渡されて自分ひとりで食べて店に帰る、みたいな。プロの味の中で育ってきたんですよね、いわば。

来栖:小さい頃におかれた環境って大きいですよね。

高澤:ぜんぜん違いますね。

来栖:ボクもそんなに行っていたわけじゃないですが、両親の考えがどうでもいいものを10回食べるなら、本当においしいものを1回食べる、というものだったので、それに便乗して小さい頃からいろいろ食べに連れて行ってもらってました。「味わう」っていうことは、やろうと思ってもいきなりできるものではないと思うので、経験は大きいですよね。

高澤:お客さんの中に、子供の頃のこととか聞いてくる方もいらっしゃるんですよ。バックグラウンドを知りたい、というような。きっと感じる方は感じるんだな、と。

食事を楽しんでもらいたいです!

冷たーい!ガスパッチョ
スイカに見立てた「冷たーい!ガスパッチョ」。バルサミコをゼラチンで固めたものが種代わり。タコの卵やリコッタチーズのアイスを添えて。
来栖:こういうお客さんに来てほしい、というのはありますか?

高澤:食を楽しんでくれる方ですね。食べ手にそういう意識がないと、食卓が楽しくならない。料理を見て、雰囲気を見て、楽しもうと思って来てくれる方がいちばんうれしいです。

来栖:食べる側もそのほうがお得ですよね。料理も理解できるし、料理と向き合うことで味の感じ方も違ってくると思います。

高澤:説明もそうですが、きちんと聞いてくれる方と、そうでない方がいらっしゃいます。

来栖:ボクはちゃんと聞きますね。聞かなくても分かることは分かるけど、聞くことで料理のことがより立体的にわかる。それで楽しくなりますね。

高澤:予約してからその日まで、いろいろ期待していただきたいですね。たまたま急につれてこられた方は、ちんぷんかんぷんじゃないかと思います。「何、これ?」という感じで、全然わからない。それでは充分に楽しめないと思います。

来栖:ボクはもうすでに次回の予約も入れていますが、話を聞いているうちにもっと予約入れたくなってきました(笑)。レストランって、いくらおいしくても、結局のところ「また来たい」と思えるか思えないか、だと思うんです。ここはその点が非常に突出していますよね。


今後の目標!

来栖:え~、それでは最後に、今後の目標とか、今後こうしていきたい、というのはありますか?

高澤:そうですね、スタッフを育てて、お店作りをきっちりしたいな、と。料理も、リピーターのお客様に10回も20回も100回もリピートしていただけるくらいの努力をしたいと思っています。期待を裏切らないように。レパートリーはそんなにもっていないので、スタッフをもっと育てて、考えるための時間を作りたいな、と思います。

来栖:コース全体として見てもらいたい感じですか?

野菜
椎茸、トマト、インゲン、黄ピーマンなど、約15種類の野菜を、トウチ&塩の結晶とともにひとくちでいただく「野菜」。
高澤:そうですね、例えば「野菜」。あれは15種類入っているんですが、ひとくちで食べた時の味の広がり方のドラマを感じていただきたいな、と。いろんな味わいが流れていって、食感があって、というワンスプーンを楽しんでいただきたいんです。ここではそういう料理が多いんですが、あれが集約なのかな、とも思います。コース全体としては、日本の食材の良さ、というのを楽しんでもらいたいな、と思っています。他では食べられないものをお出ししたいです。

来栖:ワインは国産?

高澤:基本的には日本のものですね。シャンパーニュなんかもありますが、一般的には流通していないものを置いていますので、楽しんでいただけると思います。日本のものでも力を集結すれば、世界に通用すると思っています。よく東京では、素材を海外から空輸したりして作っているところがありますが、それでは世界で勝負できない。この土地のものだけで築き上げてこそ、世界に発信していけると思います。日本料理が世界に出られる理由はそこですよね。ここは日本だし、素材はできる限り日本のものを使っていきたいです。


高澤シェフと
お店の外で。高澤シェフと。
来栖:今日いろいろお話を聞いて、また来るのが楽しみになってきました。ありがとうございました。


「アロニア・ド・タカザワ」のオールアバウト記事はこちら

「アロニア・ド・タカザワ」は、来栖けい最新刊「シェフと美食の王様 選び抜かれた最高の料理人11名と究極の680皿」の中でも大きく紹介しています。

「美食の王様 来栖けい オフィシャルHP&ブログ」

<店データ>
■アロニア・ド・タカザワ
所在地:東京都港区赤坂3-5-2 サンヨー赤坂ビル2F
TEL:03-3505-5052
営業時間:12:30~22:00L.O.
定休日:不定休
東京メトロ千代田線赤坂駅より徒歩2分、東京メトロ銀座線溜池山王駅より徒歩3分、東京メトロ丸ノ内線赤坂見附駅より徒歩3分。
地図:Yahoo!地図情報
HP:アロニア・ド・タカザワ
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます