フレンチ/東京のレストラン

対談 ~アロニア・ド・タカザワ~(2ページ目)

「アロニア・ド・タカザワ」の高澤シェフとの対談記事です。シェフが料理をはじめたきっかけや、普段は聞けない裏話などを、こと細かくご紹介します!

執筆者:来栖 けい


スペインを意識した料理!

来栖:シェフの中で、特にこのジャンルが好き、というのはあるんですか?

高澤:今までやってきたのは、フレンチを頭に描いていたんですが、最近スペインを意識するようになりました。お客さんを喜ばせる要素というのは、今はフレンチよりもスペインの方が強い。動きがありますし。

来栖:ボクも、驚きはスペインの方があると思いますね。

高澤:フレンチで動きのある要素というのは、なかなかないですね。そういう出し方、意識は強いですね。今のフランスもやっと、ジャパニーズを取り入れて意識してやっていますけど。

来栖:フランス人は、かつおと昆布を合わせてダシをとるにも、なぜこの組み合わせなのか?と聞いてくるそうですね。

高澤:フランスのアトリエに行ったとき、3年も前の玉露を置いてるところがあったりとか。そういうレヴェルですね。最近はボクも、逆に外国人がダシとか昆布を使うなら…と想像して取り入れるようになりました。今までは「脱・和の調味料」というのを意識してきたんですが、ここ最近で昆布も使うようになりましたね。今すっぽんを使ってるんですが、やっぱりお酒とか昆布を入れたほうが良いダシが出るんです。ミルポワ&ブイヨンで、っていうフレンチのやり方では、いい味が出ない。昆布、そしてワインと同じようにちょっとお酒を使ったほうがおいしいと思います。

常にアンテナをはってます!

キャンドルホルダー
フォワグラのブリュレとメキシカン風のサルサ(パパイヤ、マンゴー、パイナップル)を、カリッカリのパンにつけていただく「キャンドルホルダー」。
来栖:すっぽんはいつ出るんですか? ぜひ次回出してください! ボク、すっぽん大好きなんですよ! すっぽんのダシってスゴイですよね。楽しみです。「キャンドルホルダー」みたいなのは、どこから発想されるんですか?

高澤:器が先の場合と、料理が先の場合と両方あるんですが、今回は、器が先ですね。これを使ったら面白そうだな、とひらめいて。これを使ってどうしよう、と。フタだけでなく、「キャンドル」部分を活かさないと…、って。昨日の夜ブリュレを焼いて、こっちどうしよう? と考えて、出来上がったばかりです。


来栖:どういったところからインスピレーションが湧いてくるんですか?

高澤:常にアンテナは張ってますね。本当に些細なことから引き出してこないと、ボクにも限界がありますからね。常連のお客様で毎週来られる方の場合、品数が多いですし、旬の素材も限られてくるので、同じ素材で全部変えるのは難しいです。煮詰まってきます。些細なものでも「拾おう」という気持ちは本当にありますね。

来栖:このあいだ来た時も今日も、どれ1つとして普通のものがないんですよね。毎回毎回驚きがあって、全体としてみてもストーリーがあって。どの料理も新鮮なので、すごく頭に残りますね。その上抜群においしいから、自然とまた来たくなっちゃいますよ。メニューの書き方も想像力をかき立てられる感じだし。

偽デザート
「プディング」、「シュー・ア・ラ・クレーム」、「ブランマンジェ」に見立てた3種類の料理。
高澤:それも工夫しています。このあいだ出した「偽デザート」というのは良かったかな、と自信がありました。

来栖:あれははまりました! 6品目くらいでデザートに見立てた料理が出てきて、「なるほど、偽デザートかぁ」と思っていたら、最後のデザートの時に、今度はそれと全く同じ見た目の、本物のデザートが出てきて。すごい演出でしたね。あれはあの時だけなんですか?

高澤:そうですね。あれは1回しかお出しできないです。

来栖:ボクは、初回でいきなりにあの演出だったので、すごくインパクトがありました。今も作ろうと思えば作れるけども、やったら「またか」と言われてちゃいますもんね(笑)。

高澤:そうなんです。初めての人に、1回だけなんです。でも例えば、一度召し上がって知っていて、次回初めての子を連れてくるから同じものを作ってくれ、という方もいらっしゃいますよ。

来栖:あ、なるほどね(笑)。


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