フレンチ/東京のレストラン

アロニア・ド・タカザワ(赤坂)(3ページ目)

赤坂にある1日2組限定のオートクチュール・レストランです。まずお店の内装がスゴイ! トイレもスゴイ! 料理は、一品一品に驚きがあってとても楽しい。高澤シェフの感性に脱帽です。

執筆者:来栖 けい


まだまだ続きます!

ミネストローネ?
緑鮮やかな「ミネストローネ?」。
その「ミネストローネ?」は、にんじん、ごぼう、そら豆、グリンピースなどを盛った器に、食べる直前にトマトのみで作ったスープが流し込まれます。すると、スープが緑色に変化。具の下にほうれん草が仕込まれていて、その鮮やかな緑色でスープが色づく、といった仕組みです。トマトのピュアなテイストと、南オーストラリア産オリーブオイルの爽やかな香りが中心となって、豊かな味をつくり上げている感じです。


黒豚の漬物バック
「黒豚の漬物バック」。このままもって帰りたくなってしまう感じです。
「黒豚の漬物バック」は、スティックタイプと串タイプ、この2種類の揚げ物です。前者は、黒豚と行者にんにく入り。後者が、らっきょうやたくあんを串に刺して揚げたものです。漬け物を揚げてしまうという、その発想にも驚きですが、それ以上に油との相性の良さにビックリです! バックの形をした器もかわいいですし、「魅せ方」というものがホントに素晴らしいと思います。


ひと味もふた味も違う魚料理、肉料理!

アンコウ雑炊
「アンコウ雑炊」。鮟鱇と酸葉の組み合わせは生まれてはじめてですね。
「アンコウ雑炊」は、一皿に鮟鱇の身、肝、胃、腸が使われていて、パエリアと雑炊の間といってもいい趣。トップにある肝にはトマトが塗られていて、その酸味がアンキモの濃厚さとよく合います。また、葉っぱのようなものも添えられていますが、これは「酸葉(すいば)」というもので、その名の通り本当に酸っぱい。これがこの料理の決め手になっている感じですね。


名人猟師の蝦夷鹿
とても複雑なテイストの「名人猟師の蝦夷鹿」。
肉料理は2品。1品目は「名人猟師の蝦夷鹿」です。蝦夷鹿は、「朝鮮五味子(ちょうせんごみし)」で味つけ。「五つの味」と書くように、甘、酸、苦etc…、本当にいろいろな味がします。この五味子が、蝦夷鹿の野性味と渾然となることで、何とも複雑な滋味が生み出されているのです。


ビッグフット
「ビッグフット」。クセはまったくありません!
もう1つの肉料理は「ビッグフット」。北海道産の熊の足を使った一品ですね。ゼラチン質たっぷりのこの熊足は、実に蠱惑的なテイスト。口中が豊かさに満ち溢れる感覚を憶えます。ホクホクとしたかのこ豆も、非常によく合います。しかも、肉の横に添えられている玉葱のようなもの、これはイノシシの脂なんですが、口に含むと、力強いコシを感じるとともに、サクサクッという音を響かせます。熊足との食感のコントラスト、そしてこの脂によって一段と深まる味の奥行きが、なんとも素晴らしいですね。


誰もが納得のスペシャリテ!

野菜
スペシャリテの「野菜」。今回は肉料理のあとに供されましたが、コースの序盤に登場することも。
濃厚な熊料理の後は、シェフのスペシャリテ、これだけはいつも必ずコースに組み込むという、モザイク仕立ての「野菜」の登場。椎茸、トマト、インゲン、黄ピーマンなど、約15種類の野菜を、トウチ&塩の結晶とともに、ひとくちでいただく一品です。それぞれの野菜が持つ香り、食感が、口の中で複雑に混ざり合い、持続性のあるトウチの風味とともに、ストレートに心に響きわたります。野菜の魅力、力を、思う存分に魅せつけられる感じですね。これは次回来た時も、素直に食べたいと思えます。


以上で料理は終了。ここからはデザートです。

次ページは、デザートで起きた最高の演出について。
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