懐かしの味!
「マスカルポーネムース、バルサミコ風味の苺とフルーツトマト、チュイルダンテール、ミルクのジェラート、苺のクーリ、ホワイトチョコレートのエミュルジョン」。 |
小玉:いろいろありますが、強いて言えば「いちご練乳」。いちごと牛乳と砂糖という組み合わせはあったんですが、練乳で食べた時の感動は忘れられないですね。
これは毎年必ず作ってほしいですね。 |
小玉:そうです。あれは、自信作です。
来栖:いやホントあれは、これまで食べたシュマンのデセールで一番おいしかったですよ!
小玉:実際、練乳と苺のアイスクリームは作っていたんです。今出しているコースのデザートでは、苺のパリブレストも作ってますね。練乳は缶とかチューブの練乳があるでしょ。あれをそのままソースとして使ってるんですよ。
来栖:え? そのまま??
小玉:イメージ悪いかもしれないですが、それが一番なんです。苺のクーリのソースと二色で。クレーム・グラッセのアイスクリームをつけて出しています。練乳ってあのままがいいんですよ。ちょっと抵抗はありますけどね。
使えれば使います!
来栖:料理をする上で意識していることってありますか? この食材はフレンチだから使わないとか。小玉:ありますね。まだ悩んでいるところなんですが、和の食材。自分が使ってフレンチの一品にできるかどうか。できないものは、使えないんです。山菜とか。
来栖:それは、いずれできるようになれば、あり得るということですか?
小玉:はい。でも、春はホワイトアスパラとかがありますし、使わなくても春は表現できていると思います。だから今はわからないですね。
来栖:そもそも、シェフはどうしてフレンチを選んだんですか?
小玉:ボクは、回転寿司のバイトもやってましたし、最初は洋食とかをやっていたんですよ。ちょっと異色ですかね。普通のエリートの人は、辻調を出て、フランス校を出て、シェフになって、フランス行って、っていう王道がありますけど、ボクは違いますね。最初に買った本は、イタリアンの本なんですよ。『イタリアーノ』っていう4人のシェフの本。プロ向けの本としてははじめて買いましたね。後にボクが働く埼玉のお店、もう今はないんですが、そこへ先輩に連れて行ってもらったんです。それを食べて美味しくて、自分で作ってみたいな、と思ったんです。
来栖:それがきっかけなんですね。いつ頃ですか?
小玉:19歳くらいですね。そのお店に20歳で入って、3年ちょっといたのかな。
来栖:シェフの強みってなんですか?
小玉:ボク自身の、ですよね。ん~、心配性なところですかね。
来栖:ははは(笑)、みんな言ってますよ。この間来た時、何も言わないで帰ろうかなと思ってたんですよ、ボク。そしたら柴田さんが、「シェフ心配性だから何か言ってあげてよ」って(笑)。
小玉:そうなんです。完璧なものを出したいと思っているので。100%に近いものを出したとしても、それで終わりじゃないんです。それがどう受け止められるのか、が問題なんです。
来栖:どう伝わっているのか、ということですね?
小玉:そう。その人に合っているのか、とか。
本当においしいものを食べたければ、予約時にメニューを決めるべし!
香り豊かな「花ズッキーニに包まれたオマール海老のムース、若鮎添え」。 |
小玉:ベストは、美味しいものが食べたい、美味しいワインが飲みたい時ですね。こういうことは言っちゃいけないかもしれませんが、例えば接待のお客様や仕事のお客様もいらっしゃいますよね。その中には、今日はどういう店に行くとか、どういうものを食べるのか興味がない人もいらしゃるわけで。できれば興味を持って来ていただきたいですね。
来栖:お休みの時、外食はされますか? 行くとしたらどんなジャンルですか? そこで何か閃いたりとかはするんですかね?
小玉:はい。いろいろ、まんべんなく食べます。決めてないですね。閃きはたくさんありますね。実際お金を払って食べに行くので、美味しいものを食べたいというのもあるし、何かヒントを求めていますね。アンテナを張って。
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