第11回 恋は盲目と言うけれど
今でこそ「銀婚式を迎えた夫婦」のようなたたずまいの2人ですが、恋が始まった頃は僕もそれなりに「猪突猛進」でした。
運命の出会いを果たした1週間後は、ちょうどクリスマスイブの日でした。僕は彼に会ってくれるようお願いして、指定されたファミレスの前で待っていました。「用事で遅くなる」とは言われていましたが、待てど暮らせど、彼は来ません…気分は「マッチ売りの少女」です。
でも、「いい加減こごえ死ぬ」と思い、店に入って待つことに。コーヒーを何杯もおかわりして、日付も変わり、「とんだイブだったなぁ…」と途方に暮れた頃、彼は現れました。とりあえずはシンデレラになれたのです。
そこから3ヶ月、つきあってもらえる見通しもないまま、僕は熱烈にアタックし続けました。毎週彼の部屋に行き、セックスして、朝になったら帰る…そんな日々が続きました(友達に彼が振り向いてくれなくてつらいの…と弱音を吐いたこともありました)。2月の誕生日にはプレゼントもあげてお祝いしました。身の危険を冒したり犯罪に手を染めたりこそしませんでしたが、辛抱強く、全身全霊でアピールしてました。(相手を振り向かせようと精一杯ダンスするハデな野鳥みたいに)
やっと正式につきあうことになり、その日から毎日、彼の部屋に通いました。隣り町なので近いのですが、チャリで彼の部屋に行き、朝はまたチャリで家に戻り、駅まで歩いて電車に乗って通勤(定期券は自分の家の近くの駅からと決まっているので、そうしてました)、という生活。雨の日はちょっと大変でした。でも、当時は全然苦になりませんでした。(ダンナのためならエンヤコラ)
1ヶ月くらい経ったある日、ダンナから「入院した」とメールが。驚いた僕は仕事を抜け出して(取材とか何とか言い訳したハズ…編集部のみなさん、ごめんなさい!)、病院に駆けつけたのでした。聞くと、胃けいれんで緊急入院したということ。ときどき持病のように発作が起こるようでした。(ピロリ菌を退治してからはそういうことはなくなりました。ビバ!医療技術)
…て感じですが、こうやって書いてみると意外と薄味ですね(ダンナの前につきあった人はもっとハチャメチャやってました)。たぶん「強火でジャーッと一気に」じゃなく「弱火でコトコト煮込む」タイプの恋愛だったんだなぁ~と思います。