いつか本当の結婚を
式を挙げた後で届いた結婚証明書。強く結ばれたお二人の愛の証です。でも、残念ながら日本では法的効力はありません… |
式を挙げて帰ってきた後で、お二人の家にカナダから結婚証明書が届きました。お二人のパートナーシップを認める正式な証明書です。その絆は世界に認められました。誰もその愛の結びつきを否定することなどできないのです。
ごりらさんは、結婚証明書を受け取った後、新宿区役所に婚姻届を出しに行きました。
「憲法でも婚姻は男性と女性でなければならないとは書いてないし。でも、区役所では受け付けられませんって言われました。やるんだったら家庭裁判所に持ち込んでくださいって。じゃあ受理できないっていう証明書をくださいって言ったけど、それもできないって…」。ごりらさんは幸せをあきらめず、正々堂々と法制度という名の門を叩いたのです。その勇気と志に拍手を贈りたい気持ちです。
すでに同性婚が認められている国や州でも、役所で届けを受理してくれないと裁判を起こして勝ち取ったケースがたくさんあります。彼の行動は実に世界標準なものでした。
ごりらさんにはお兄さんがいるそうですが、もし彼の身に何かあったとき、今お二人が暮らしているお家は、法律上はお兄さんに相続されます。そうなると、ようさんは家を追い出されるでしょう。そうなっても仕方のない立場にあるのです。たとえ二人で半分ずつ出し合って買った財産も、男女の夫婦であれば当然権利が認められるのに、同性だというだけで、奪われてしまうのです…
「遺言状は作れるけど、法律上、最低限はこの人にっていう部分がある」とごりらさん。「裁判はお金も体力もかかるので、難しいです。今できることをしていったらいいんじゃないかと思って、公正証書は作ろうと考えてます」とようさん。
苦労して、祝福を受けながら手に入れた結婚証明書は、お二人にとってかけがえのない、一生の宝物です。でも、日本の法律では効力を持ちません。どれだけ長くおつきあいしても、こうして海外で式を挙げて結婚証明書までもらっても、日本ではいっさい認められず、二人はただの友達でしかないのです…本当に悲しいことです。
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10周年記念のリングに本物の愛が光ります。彼らが本当に結婚できる日がいつか来ることを願ってやみません。 |
ようさんの、優しい笑顔の奥にある凛とした厳しさに触れて、幸せは強い意志の産物なんだと感じさせられました。
そして、あきらめずに僕らが幸せになろうとする努力を積み重ねていくことで、道はきっと開かれていくんだろうなと思えるような、本当にいいお話でした。
何十年後かわかりませんが、日本で同性婚が実現し、あらためてお二人が正式に結婚できる日が来ることを願ってやみません。