苦労を乗り越えて実現したカナダでの挙式
そうやって10年もパートナーシップを築いてきたお二人ですが、お二人とも海外旅行が好きという共通点がありました。初めていっしょに行った、いわば新婚旅行はニューヨークでしたが、記念に5番街のティファニーで(!)ペアリングを買ったそうです。そして昨年、10周年の記念として、初心に帰って再びニューヨークに行って指輪を買うことにしたそうです。
そのついでにバンクーバーの友達のところにも立ち寄ろうという話になり、カナダは同性婚ができる、しかも誰にでも証明書を発行してくれるということで、お二人は結婚式を挙げることに決めたのです。
たとえ国内でも結婚式を挙げるためには様々な準備や段取りが必要で、自分ですべて手配するのはとても大変なこと。海外だとなおさらです。日本でもバンクーバーでのウェディングを手配してくれるサービスもありますが、割高なので、ようさんは、同性婚を挙げるための手順や費用などを説明してくれているブリティッシュコロンビア州のサイトやゲイウェディングについてのサイト(もちろんすべて英語)を読んで、自分で手配することに決めました。
バンクーバーのクイーン・エリザベス・パークでの結婚式。左の女性がマリッジ・コミッショナーの方です。 |
現地では、まず最初にマリッジ・ライセンス(結婚の資格があることの証明書)を買います。政府のオフィスだけじゃなく、ドラッグストアなど、いろんなところで買えるそうです。お二人はホテルに一番近かった保険会社のオフィスで買いました。
式を挙げるのは、マリッジ・コミッショナーという方。「基本的には同性だろうが異性だろうがセレモニーをやってくれますが、実際は渋々やる人と喜んでやる人がいるらしい」ということで、同性婚に関するblogをいろいろ見て、この人がよかったと書かれてた人にお願いしました。宗教色が特にない「シビル・セレモニー」というスタイルを選びました。
マリッジ・コミッショナー以外にも、式にはウィットネスという立会人が2名必要だそうで、お二人は現地の友達にお願いしました。もし現地に知り合いがいない場合は、コミッショナーに頼めば実費でウィットネスを手配することもできるそうです。
式場は公園でもビーチでもどこでもよいのですが、お二人は、バンクーバーのダウンタウンから程近い小高い丘の上にあるクイーン・エリザベス・パークという公園に決めました。もし雨でできなくなった場合は、式の後で友達とディナーを食べる予定にしていたレストランにお願いすることにしました(当日は無事に晴れました!)
これが胸につけるブートニアです |
こうして、2008年7月、バンクーバーのクイーン・エリザベス・パークで、お友達の立ち会いのもと、ようさんとごりらさんの結婚式が行われました。実際のセレモニーは、マリッジ・コミッショナーの方が誓いの言葉を話して二人で復唱、指輪を交換、キス、書類にサインという、ひじょうにシンプルな、ほんの5分~10分で終わるものでした。それでも、ごりらさんはボロボロ泣きだして、涙が止まりませんでした。
「パートナーであることを認められたのが本当にうれしかった。生活は変わってないけど、結婚したんだっていう事実が、とてもうれしくて」とごりらさん。「式を挙げることができて本当によかった。一生の記念です」とようさんは語りました。
これだけの苦労を乗り越えて、やっと挙げることができた結婚式。もしその場にいたら、絶対号泣してたと思います。 |