プロテニス復帰後、初めて書かれた本
『challenge!!』 クルム伊達公子 著 \1,575(税込) 講談社 |
伊達さんは今までに何冊か本を出されていますが、この本はプロ・テニス界に復帰してから書かれた最初の本。ドイツ人レーサーの夫ミハエル・クルム氏(以下、ミハエルさん)との国際結婚生活、11年半ぶりの復帰への挑戦、何が彼女を動かしたのか……など興味は尽きず、あっという間に読み終えてしまいました。
よくあるタレント本のように、文字が大きく行間が広く改行だらけで余白がいっぱい……という内容を想像していたら、大間違いですよ。伊達さん、文章がたいへんお上手なのです。特に、ミハエルさんとの出会い、恋愛時代から結婚生活へと移ってゆく過程、国際結婚特有の文化の違いへの戸惑い、ケンカをしつつも掛け替えのないパートナーになっていく様子などが、とても丁寧に、且つ的確に描かれていて、すごく共鳴する部分がありました。
孤独の過去から充実の現在へのコンテンツ
ここで目次をご紹介しましょう。プロローグ
第1章 「ドリームマッチ」へのチャレンジ
第2章 生い立ち
第3章 8年間のプロテニスプレーヤー生活
第4章 めぐり逢い
第5章 パートナーと生きる
第6章 愛するもののために
エピローグ
第2章を読むと、話には聞いていましたが、プロテニスプレーヤーとはかくも孤独な職業なのだということがよく分かります。まさに戦うアスリート!
最初のプロ時代、伊達さんは、必ずしもメディアから評判のいい選手ではなかったようですが、それは自分を心身ともにベストな状態にもっていくために、周囲にバリアを張り巡らさなければならない状況だったからなのです。しかも、芸能人と違って、マネージャーなど代わりに風除けになってくれる人がいませんから、すべてを1人で受けなければならない。たいへんな時代だったと思います。
そんな長年孤独とお友達だった伊達さんが、ミハエルさんという最良の伴侶を得て、心から彼を信頼し安らぎを得ていく様子が、第5章の小見出しによく現れています。たとえば「絶対的な見方」「孤独から解き放たれて」「誰かと暮らすということ」「心地よさがかえって不安に」「価値観の変化」などなど。私も孤独とお友達期間が長かったので、なんだか他人事と思えず、ウルウルしてしまったのでした。
しかし、結婚にはコノ壁も……