大阪の最後の夜
にぎやかな大阪の夜はグルメで締めくくり |
おばあさんは背筋はピンとしているものの、耳が少し遠くなってきているのですが、それをカバーするのがおじいさん。旅行中はいつも寄り添い、手をつないで、おばあさんの面倒をみています。自分たちでできるうちは、人に迷惑をかけたくないと思っていらっしゃるようで、そんなおじいさんを、直美さんはカッコイイと思っていました。
ところで、この日、直美さんには、ずーっと気になっていたことがありました。連日歩いていたためか、おばあさんの足がかなりむくんでいたのです。すごくお疲れなのではないか、このまま飛行機に乗ったらエコノミークラス症候群になってしまうのではないか……。直美さんは気が気ではありません。
ホテルに戻ってから、スコットさんと一緒におじいさんたちの部屋に行き、マッサージをさせて下さいと申し出ました。そして、以前受けたことがあるフットマッサージを思い出しながら、まず蒸しタオルで足を温め、見様見真似で揉み始めました。気持ちよさそうにリラックスしているおばあさん……。
心を込めて一生懸命マッサージしている直美さんに、おじいさんもおばあさんも本当に喜んでくれました。この時だったのです、お母さんの出されなかった手紙を見せていただいたのは……。直に手に取って、お母さんの肉筆を直美さんが読ませていただき、スコットさんに訳してあげました。美しい達筆で、ところどころ読めない箇所もありましたが、母の想いは文字からもひしひしと伝わってきたそうです。
夫のうれしい一言
おじいさん・おばあさんと、最後に貴重な時間を過ごした直美さん。「お2人はスコットのことをとても可愛がり、私のことも可愛がってくれるんです。私も『こんなにおじいちゃんとおばあちゃんのことが好きなんだ!』ということに改めて気づかされました。一緒にいる時間はまだ短くても、こんなに深い絆が築けるんだなぁと思いました」
その夜、自分たちの部屋に戻ってから、スコットさんがこう言ったそうです。
(直美さんがおばあさんをマッサージしてくれたアノ時間は)「人生の中でいちばん幸せだった。本当に幸せを感じた」
翌日、関西空港では、おばあさんのために車イスを借り、経由の成田空港でも不自由がないように、付き添いの人も全部スコットさんが手配して、みんなで見送ったそうです。孫の結婚式と多くの親族や懐かしい人に会った数々の思い出を胸に、おじいさんとおばあさんはアメリカに帰って行きました。
ご両親・弟さんとの旅はまだ続きます……