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日本と海外の愛情表現はどれだけ違う?ラブラブの夫婦仲を保つコツ!

国際結婚夫婦はいつまでもラブラブで倦怠期やマンネリ婚などという言葉とは無縁……と思っている方も多いのでは? それは日本人との愛情表現の違いによるものなのでしょうか? 今回は、2組のカップルにお話をうかがいました。

執筆者:シャウウェッカー 光代

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日本と海外の愛情表現、違いとは?

日本と海外の愛情表現

日本と海外の愛情表現

世間一般のイメージでは、国際結婚のカップルはいつまでもラブラブで、年をとっても手をつないで歩き、倦怠期やマンネリ婚などという言葉とは無縁……と思っている方が多いかもしれませんね。

でも、実際はどうなのでしょう?
もしイメージ通りだとしたら、国際結婚では何が違う……?
日本人同士のカップルより、お互いの愛情表現が豊かなのでしょうか?

今回は2組のご夫婦にお話をうかがってみました。
お相手がアジア出身という組合せでは最も多い「中国人の奥様と日本人のご主人」というカップル、そして同じくお相手が欧米出身という中では最も多い「アメリカ人のご主人と日本人の奥様」というカップルです。
 

<目次>

夫婦が歩調を合わせて子育て

子どもの将来やアイデンティティを考えることで、夫婦にはより深い絆が…

子どもの将来やアイデンティティを考えることで、夫婦にはより深い絆が…

よく耳にする話は、子どもができると奥さんは“母親”だけになってしまい、子どもの前でお互いを「パパ」「ママ」と呼び合う頃になると、ますますその役割にハマっていってしまうというもの。

ちょうどそんな時期にいるのが、結婚9年目のK夫さんご夫妻。 中国人の奥様との間にもうすぐ5歳になるお子さんがいて、ただいま子育て真っ最中の30代のカップルです。ご自分たちが親になるときに、まず次のようなことを約束したそうです。

「子どもが生まれ、これから子育てというとき、2人で決めたことがあります。それは“夫婦が歩調を合わせる”ということ。片方の親が叱っている横で、もう片方の親が許したりすると、子どもは戸惑いますからね。

ただ、あまり追い詰めないようにしないといけないので、逃げ込める場所があるよう、1人はあえて少しだけ優しく接するようにしようと決めてあります。これって、国際結婚だからとかそういうことは関係なくて、親として国際標準的なんじゃないかと思います。妻も普通に受け入れてくれました」
 

子どものアイデンティティがいちばんの話題

お子さんが生まれてから、ご夫婦の間で何か変化はありましたか?

「結婚当初は、中国と日本の文化や生活習慣の違いなどに関する話題が多くありましたが、最近は子どものこと、教育のことに話題が移ってきました。特に“言語の教育をどうするのか?”という問題については、そろそろ5歳を迎えようという時期ですので、きちんと決めなければなりません」

たしかに、これは国際結婚カップルが最も考える問題ですよね。子どものアイデンティティをどうするか……。子供たちが自分の意志で選択できるのはまだ先ですから、親としてそれまでのことをまず考えておいてあげなければなりません。

「日本人として育てるか、中国人として育てるか、子どもにとっては人生に大きく関わる問題です。親としては責任重大です。こういうことに悩むこと自体が国際結婚の宿命かなと思ったりもします。日本人同士の結婚なら、選択肢は1つですからね。

今、日本で暮らすことを選択すると、子どもはこれから先15年くらいは日本にいることになる。2人だけの問題でなくなってきたこのような家族の問題については、本当によく話し合っています」
 

子どもへの愛情も含めての「愛」

家族が増えたことで、奥様との関係も微妙に変化してきたそうです。
ただ、それは決して“マンネリ化”ということではないと、K夫さんはおっしゃいます。

「以前は、誕生日だったりバレンタイン・デーだったり、そういう時にプレゼントをすることで、お互いを思いやる気持ちを表現していました。最近では、子どもの将来のことを真剣に考えるという共通の目的ができたので、同じステージの上で同じ方向を向いて立っているような、そんな気持ちになっています。子どもがいない頃は、ステージの上でお互いが向き合って愛情を確認していた、というんでしょうか……。

こうなってくると、自然とお互いへの愛情表現は減り、子どもへの意識のほうが高くなっていきますよね。ただ、それは“お互いを気にしなくなった”というのとは違うような気がします。

この感覚は、日本人同士のご夫婦の場合も同じなんじゃないかと思いますね。あくまでも個人の感想ですが、なんとなく中国、韓国、日本などのアジア圏では(他の国はあまり知りませんが)、似ているのではないかと思います。子どもは子ども、夫婦は夫婦と割り切ると言われている欧米とは違うような気がしています」
 

愛情表現の質が変わってきた

さらに、国際結婚ならではのこんなことも……。

「子どものこととはちょっとはずれますが、中国には年老いた義理の両親がいます。ちょうど先月、中国の義母が倒れ、手術をする話が出てきました。そんな状況をお互いがどうとらえているのか……。今まで突きつけられたことのない現実を目の当たりにして、2人とも人間の本質的な部分がオモテに出てきているところだと思います。

どんな夫婦にもいずれ親の問題を考える時期が来ようかと思いますが、日本国内で地方の両親を呼び寄せたり自分が地方に転職したり……といった状況とは違い、国境をまたいだ話になるわけですから、かなり早い段階からいろいろと考えておかなければなりません」

夫婦のどちらかは自国を離れて生活している国際結婚カップル。親を呼び寄せるにしても自分たちが行くにしても、国際的な法律や手続きの問題が必ずついてまわるのです。

「最近は、好きとか嫌いとかそういう次元ではないところで、お互いの信頼関係が深まっていると感じるようになりました。プレゼントをもらうとか『wo ai ni(愛しています)』と言われるよりも、自分の親のことを心配してくれたり、家のお墓のことを心配してくれるほうが、より自分のことを考えてくれていると私は感じます。これらを表現することを“愛情表現”というならば、愛情表現の質は大きく変わってきたように思いますね」

ご夫婦の愛がお子さんや親御さんを含めた家族愛へと広がりを見せることに伴い、言葉や行動による愛情表現も変化してきますが、それは愛が色褪せたとかマンネリ化してきたということでは決してない、とのこと。むしろ大きく揺るぎないものへと変わっていることが、私にも感じられました。
 

次にお話をうかがったのは、アメリカ人のご主人と日本に暮らすS美さん。ご夫婦ともに40代、お子さん2人はアメリカの高校に進学し、早くに巣立ってしまって、現在はご主人と2人暮らしです。
 

会話のある日常

再び訪れた夫婦2人の時間。あなたはどのように過ごしたいですか?

再び訪れた夫婦2人の時間。あなたはどのように過ごしたいですか?

とにかく会話の多いご夫婦なのです。

「朝起きて、ハグして、キスして、『愛してるよ』と言うのは当たり前なんですね。そして朝いつも『今日の気分はどう?』『今日は何をするの?』と聞いてくれます。仕事中でもよく電話やメールが来ますよ。『今、何してるの?』とか『6時頃帰るよ』とか……。夫婦のこういうやり取りは、アメリカでは普通なんですよね」

そういえば、私の編集者時代にアメリカ人の同僚がいたことがありましたが、彼も毎日お昼休みに奥さんに電話してましたっけ。一部の人は「恐妻家?」などと噂してましたけど、そうではなくて、彼としてはごく当たり前の行動だったのですね。今にして納得……。

「新婚の頃は、ほぼ毎日、電話がありました。『今、オフィスに着いたよ』とか……。忙しい時は『いちいち電話してくれなくてもいいわよ』なんて思ったりしたこともあったけど(笑)、今はそれが普通になっているし、素直にうれしいですね。

『今日はどうだった?』とも必ず聞かれます。面倒だと『別に。いつもと同じ』なんて答えたくなりますが、それは通用しません。『そんなわけないだろう、何もいいことなかったの?』って、延々聞き返されてしまいますから(苦笑)。

こんなふうに、会話はものすごく多いですね。夕食は、テレビは絶対につけず、お話しながらいただくので、2時間くらいかかります」

えっ、週末だけじゃなくて!?

「はい、平日も。テーブルにお花やキャンドルを飾るなど、演出も忘れません。時にはそのままキャンドルをバスルームに持っていって一緒に入ることもありますし、DVDを見たりして過ごすこともあります」
 

プレゼント、お花、写真……

普通の日常がこうなので、当然のことながら、記念日、誕生日、クリスマス、バレンタイン・デーなどは、必ず手書きメッセージ入りカードが添えられたプレゼントをいただくそうです。

「私が花が好きなので、お花はよく買ってきてくれますね。別に記念日などでなくても、『きれいだったから』とか『いつも家のことをやってくれてありがとう』って、買ってきてくれることもありますよ」

“う~ん、うらやましい~”と感じている女性、たくさんいらっしゃるのでは?

「家族写真も写真館に行って頻繁に撮ります。オフィスのデスクの上に飾っておきますし、必ずお財布などに入れて携帯していますよね。アメリカではそれが普通なんです。奥さんが会社に行くこともあるし、子どもを連れていくこともありますから。
ただ、外資系でも私のオフィスではやんわり注意されました。まわりの状況を見て、それに合わせることも大切ですね」
 

セクシー・ランジェリーは必需品!?

キャリアウーマンとしても活躍されているS美さんですが、家事もほぼ完璧にこなしているご様子。なのに、両手の爪はきれいにネイルが……。聞けば、定期的にネイルサロンに通われているそう。人に見られるところをきれいにお手入れしたり、自分に磨きをかけることは、当然のことなのだそうです。

「アメリカでは夫婦同伴が多いため、男性は奥さんにもきれいでいてほしいと思っているんです。男性もジムに行って鍛えるなど努力をしていますが、奥さんにも努力してほしいと……。だから、奥さんが自分を磨くために、エステに行ったり、宝石を買ったりするのは大賛成なんですね」

さらには、こんなドッキリするお話もうかがいました。

「会社にはアメリカ人スタッフが多いのですが、女性たちはランチタイムに通販カタログでセクシー・ランジェリーをオーダーするんですよ。『私はこれにするわ~』なんてワイワイ言いながら……。結婚20年以上のベテラン奥様でも、ご主人を喜ばせる努力を惜しまないんですね。

ご主人側も、奥さんにはいろんな顔を持っていてほしい、たまには奥さんからベッドに誘ってほしいと思っているんです。だから、奥さんのほうもいろいろ演出します。ランジェリー以外にも、女性らしい香りのパフュームをつけたりとか……」

なるほど~。インタビューの後、思わず通販カタログのランジェリー・ページを開いてしまった私です(笑)。
 

夫婦の時間を大切にする

「アメリカ人男性は、子どもより奥さんを大事にします。だから、人前で手をつないだり、ハグやキスをするのは、恥ずかしいことじゃないと考えています。私は、最初は抵抗がありましたけど……。子どもが生まれる前からこのような習慣だったので、生まれてからも基本的にそれは変わりませんでした。

そして“夫婦の時間”を大切にしますよね。たとえば、週末は子どもたちをベビーシッターに預けて、夫婦でレストランに行ったり、映画やコンサートに行ったりします。夫婦で楽しむ、というのが当たり前なんですね。

ただ、アメリカでは、ベビーシッターという制度がもう確立されているので、やりやすいということはあると思います。私はベビーシッターに頼むのは抵抗があったので、母に頼んだり、子どもが学校に行っている昼間に主人と待ち合わせて、一緒に買い物したりランチしたりしていました」

あと、夫婦関係には住宅事情も影響するかもしれないと、S美さんは指摘しています。

「狭い家やマンションに住んでいると、いつも誰かの目があったり、子どもが同じ部屋に寝ていることでセックスレスになりやすいかもしれません。夫婦もいつも近い距離にいるので、お互いガマンすることも多いでしょうし……。アメリカのように家が広いと、そのような“煮詰まり感”があまりないんですよね。だから、逆に“夫婦の時間”を楽しめるのかも……」
 

ラブラブの夫婦仲を保つコツは?

マンネリ化や惰性感を打破して熱い夫婦仲を保つことは、「文化が違うから日本人にはむずかしい」と思ったみなさま。ぜひこのご意見を聞いてください。 

S美さんが知り合いの60代アメリカ人ご夫婦からいただいたアドバイスは、
「お互い努力することが最も大事! 絶対必要!」
だそうです!

アメリカ人のご夫婦といえども、自然に何もしないでずっとラブラブのままでいられることはあり得ないそうです!(少し安心?) マンネリ感や飽きることなどは、やっぱりあるのですって。それを乗り越えるためには「努力」あるのみ!だそうですよ。

先のランジェリーや自分磨きの話もそう。
「夫婦はお互いに努力が必要ですし、周りのカップルもみんなそうしています。だからセックスレスにはならないんです。努力をする気持ちにならないような相手だったら、もう離婚していますし、セックスレスになったら、それはお互い相手に魅力を感じなくなったということですから、やはり別れてしまうんですね」

そういう意味でも、愛情表現は大事。
「主人は『かわいいね』『きれいだね』『素敵だね』『よくがんばったね』など、いつも言葉にして自然にほめてくれるので、自信が持てるようになりました」とのこと。もちろんS美さんも、ご自分の気持ちを言葉や行動で表現して、ご主人に伝えるようにしています。

「国際結婚夫婦の間に“以心伝心”はありません。でも言葉はタダだから、どんどん使います。相手を気分よくさせるのも悪くさせるのも言葉。だったら上手に使いたいですよね」

現在、また夫婦2人だけの生活になったS美さんですが、
「子どもが巣立っていったことで、より濃密な夫婦の時間が持てるようになりました。子どものことを気にしなくていいので、大人のスタンスで、2人の好きなことができますから。今はこの時間を夫婦で楽しんでいます」

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