昨年5月にカナダのカルガリーで子供2人をアパートに置き去りにして死なせた藤井理絵被告に、先ごろ判決が申し渡されました。
事件の詳細については、記事・コラムのバックナンバー「カルガリーで起こったある事件」と「カルガリー事件・その後」をお読みください。
■判決は懲役8年
2002年9月9日、カルガリーの裁判所でピ-ター・マーティン裁判長は藤井理絵被告に懲役8年の判決を言い渡しました。
当初は「second degree murder 第二級殺人罪」に問われていましたが、「manslaughter故殺罪」で裁かれました。「故殺罪」とは、殺す意志はなかったが衝動的に相手を死に至らしめてしまったケースとされています。
藤井被告は既に15カ月間収監されており、その期間の2倍分が差し引かれるため、実際の服役は残りの5年6カ月となります。
また藤井被告は事件当時、カナダに不法滞在していたため、服役を終えて釈放され次第、日本に強制送還されることになります。
判決が言い渡された時、藤井被告の顔にはわずかに感情が現れましたが、日本から来ている両親のほうは一度も見ませんでした。
■新事実
事件の発覚から今までに、新たに分かったことがいくつかあります。
藤井被告は、1歳3カ月のドミニクちゃんと3カ月のジェミニちゃんを、約10日間アパートに置き去りにし、餓死に至らしめました。その時、藤井被告は隣の町に住む新しいボーイフレンドのところに行っており、その人には子供たちはベビーシッターに預けてあると言っていたそうです。
また、当初、ジェミニちゃんの遺体はポリ袋に入れてボウ川に捨てたと供述しており、警察と消防で大掛かりなボウ川の捜索が行われましたが、実はポリ袋を大型のゴミ収集箱に捨てたことが、その後の調べで分かっています。結局、ジェミニちゃんの遺体は発見されていません。
さらに、子供たちの父親であるピーター・ブラウンは、藤井被告を精神的・肉体的に虐待しており、それが被告を追い詰めていたことも明らかにされました。
同棲していたブラウンは藤井被告へのサポートを何もせず、彼女の両親から毎月仕送りされるお金で暮らしており、そのほとんどをドラッグやギャンブルに使っていたということです。
マーティン裁判長は
「被告は最初子供たちを置き去りにしたが、数時間後、様子を見に戻っている。
やがては10日間家に帰らず、彼らを死に至らしめることとなる。これは最も冷酷で無情な行為である。どうしてこのように、避けられない恐ろしい結果を招くことが分かっているのに、自分の子供を無視できるのか、理解し難い」
としながらも、2人の医学専門家----心理学者と精神病医学者----の証言より、当時、藤井被告は人格障害を起こしていたということを示唆しています。
続編ではこの内容を詳しくお伝えします。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。