暮らしの歳時記/日本のしきたり・マナー・ことば

手紙の書き方 ~心に届く時候・時節の挨拶(2ページ目)

手紙といえば文例集に頼りっぱなし…「拝啓」のあとの「時候の挨拶」で筆が止まってしまうあなたに、苦手意識をなくす季節の挨拶をご紹介します。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

時候の挨拶を比べてみましょう

ちょっとしたご挨拶には、季節の絵葉書を選んで。
ここに6月に届いた手紙が5通ありますので、それぞれの時候の挨拶を抜き出してみました。

・A 「入梅の候」

・B 「うっとうしい梅雨の季節となりました」

・C 「雨に濡れた紫陽花が 美しく映える季節となりました」

・D 「雨雲の下 色とりどりのパラソルの花が咲いています」

・E 「久しぶりの晴れ間 窓を開け放ち すがすがしい風で家中をいっぱいにしました」


時候の挨拶ひとつで、印象が違います

一筆箋にも、さりげなく季節を感じるフレーズを入れると素敵です。
A~E、どれも時候の挨拶として成立していますが、それぞれ読んだときの印象が違いますね。

・Aは、お行儀はいいけれど、儀礼的で読み飛ばして終わってしまいそう。
・Bは、「うっとうしい」というネガティブな言葉が、気持ちを沈ませてしまいます。季節の挨拶なので、気持ちが明るくなる内容にしたほうがいいでしょう。
・Cは、梅雨の美しい風景をとりあげ、しっとりとした情景が浮かんできます。
・Dは、日常の中で目にしたものを情緒的に表現し、梅雨の楽しい一面を思い起こさせます。
・Eは、晴れた日のすがすがしさを綴ることで、読み手の気持ちまで爽やかにしてくれます。

あなたの心に届くのはどの挨拶ですか?どんな挨拶をされたら嬉しいでしょう? それはそのまま、あなたが手紙を書くときにもいえることです。

そうはいっても、文例集から抜き出すほうが楽ですし、考えるのが苦手だから嫌なわけで……そこで、心に届く時候の挨拶を書くヒントをご紹介します。  >>>
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