老舗たるにはその理由がある

仕事がら、「老舗」と言われるお店に行き、取材する機会に恵まれます。いつも思うのは、老舗こそその看板にあぐらをかかず常に努力し進歩し続けているということ。「味を守る」と口で言うのは簡単なことですが、食材の質も変われば料理人も世代交代します。そしてお客の好みも時代によって変化してゆきます。様々な移り変わりに柔軟に対応しながら、その店の基本となる味を受け継ぎ、守り続けなければなりません。

「老舗たるにはその理由がある」というのが私の持論です。星の数ほども飲食店がある東京で、数十年もの長い間営業しつづけるには、必ずやそこに人を引きつけて止まない魅力があるもの。今回ご紹介するのは、新宿の靖国通り沿いにあるい水炊き料理の玄海。今年で創業80年を迎えます。

全室個室の贅沢な空間

玄関で靴をあずけると、すぐに部屋へと案内されました。こちらの店は全室個室。家族や仲間同士でゆったりと食事を楽しむのには最適。今回使用したのは「楓」の間。小さな庭も付いていて広々とした贅沢な空間です。

さて、こんな雰囲気の中いただくのは、ランチの水炊きコース花御膳(5250円)。正直に言って、ランチにこのお値段は高い! でも食事が終わるころには誰もが納得してしまう味なのです。

芳醇な旨味を堪能!

柚子の香りたっぷりの食前酒から料理は始まりました。ササミを薄く伸ばして揚げた鶏せんべいに、季節の前菜の盛り合せと続きます。ここで美味しさの第一波が。それはとりの炙り刺し。ササミの表面だけを炙ったもの。生の部分はねっとりとした舌触りと、芳醇な旨味が楽しめます。


さて、お次は待ちに待った伝統の味水炊きの登場です!

次ページで紹介します。