付け合わせが名脇役
軽いアミューズの後に出てきたのは前菜の
桜ますのマリネ 生ハムと赤玉ねぎのソースです。食材からもお花見をイメージさせてくれますね! 桜ますはサーモンに近い味わいですが、ねっとりとした食感はこちらの方が一枚上手。ソースも生ハムの塩分とコクがしっかりと感じられます。付け合わせはフェンネル(ういきょう)をレモンの香りをうつしたオイルと合えたもの。このフェンネルの香りや食感、苦味が桜ますのちょっとクセのある香りやこってりとした味をさりげなく引き立ててくれているのです。
ソースの味とパスタの食感にKO
今年の1月から料理長に就任したという鈴木康二さん。前菜だけでもその実力をかいま見ることができました。イタリアの様々な地方に武者修行に出ていたというシェフの作る二皿目のパスタは……。コースの中で私がいちばん気に入った料理となりました。
魚介のトマトソースのタリアテッレです。北海道産のアサリをはじめ、帆立やタコ、ムール貝、貝柱をトマトソースで煮込んだシンプルなソースです。料理名からはちょっとあっさりした味わいを想像していましたが、魚介の旨味が凝縮されて、お肉を使っていないのにもかかわらず、コクや旨味が充分に出ているのです。
それに、お店で手打ちしているパスタもモチモチとした食感。舌には、パスタの表面のちょっとしたザラザラ感が伝わってきます。このザラザラにソースがしっかりからんで、この味わいを出しているんですね。「日本の方は、ツルツルした食感のパスタを好みますけど、イタリアの味を伝えるのも私の仕事かなと思って」と料理長は語ります。
パスタで気持ちは高まったところで、お待ちかねのメインとデザート。
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