手間ひまを惜しまず造り込まれた居心地のよい空間。新しいそば屋の風を感じた
旧い空間の再生において、最も効果的な手段のひとつがペイントだ。経年とともに与えられた擦過も、ふとした衝撃で負ってしまった小陥没も、丁寧に下地をこしらえてから塗料を重ねていけば、新品の時代とはまた異なる深い味わいが加わっていく。
こんな絶妙な空間を通って導かれる新しい蕎麦屋空間。このプロローグに胸躍らせぬ人はいるだろうか?
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▲きっちりと補修された空間に好感がもてる。
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▲気持ちのよい店内。テーブルトップは廃材を流用し、象嵌で飾っている
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▲店主自慢のこだわりの天井まわりと、磨き上げられたレンジフード
BAUHAUSばりのレトロなペンダントライト、アラワシとなったロゼット配線。鈍色に美しく輝く特大のレンジフード。すべては、居心地のよさを追求するために、店主がこだわりぬいたものたちである。心がこめられたモノたちは、そこに配置され美しいハーモニーを奏でる。そして、店の柔らかな空気感を、優しく演出するのである。
ここには、心が通った店作りがある。
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