実は、切りは一番簡単なプロセスなんです
初心者がいちばん好きになれないプロセスは、ダントツで「切り」です。その結果がすぐに出てしまうからでしょう。でも、切りはノシの結果にすぎないのです。
ノシさえうまくいっていれば、切りはとても簡単です。ただリズミカルに包丁を動かすだけで、同じ太さの麺が面白いように切れます。
▲小柄なAmyさんは、とても非力。そこで最初は重石をつかってチャレンジ
駒板は、包丁の動きに関わりなく、いつでも7kgの力で押さえる必要があります。Amyさんが駒板の真ん中に乗せているのは、一箇3.5kgの漬け物石。それをふたつ重ねて7kgの力で駒板を押さえています。最初は奇妙な形をしたそば切り包丁に途惑っていましたが、すぐに慣れた様子で、ご覧の通り快調に切り進めています。
▲そして、重石をやめ、基本通り左手で押さえて、切りのポーズが完成
器用なAmyさんは、あっという間に包丁を使いこなし、ご覧の通りの結果。大したものです。
ただ、日本の小学生高学年位の小柄で非力なAmyさん。あまりにも手がちいさいため、親指が包丁の向こう側に回らない(この包丁は、寒山拾得・花扇グリップという女性用の薄いグリップをもつタイプなのだが…)。
まあ、これは致し方ない。
もう一つのポイントは、あまりにも非力ゆえ、親指・人差し指・小指を使う基本の押さえ方だと、推奨値である7kgの力が与えられないので、手のひらを駒板の上にべたっと置く方法に変えている。
こちらの方法は、力が強くなかったり、ハンディキャップをもつ人にお薦めできる別法である。基本の押さえ方とくらべ、駒板の動きがややスムーズにいかなくなるが、力が与えやすくなり安定度が増すという利点がある。
▲しかしまあ、見事なものです。蕎麦うち二日目にして、切り揃っています
筋のいいAmyさんは、あっという間にそば切りのコツをのみこんだようだ。切りが上達する3つのポイントをここにまとめておく。どうも切りが苦手な人は、これらのポイントをチェックしてみよう。
□包丁をテコの原理で1.5度傾け、駒板を送る
□生地の上で刃先を休ませる
□刃の垂直を維持したまま、包丁を向こうに送って切る
どうですか、知ってしまえば、切りは案外簡単です。よい包丁を持てば、蕎麦切りをすること自体が、待ち遠しくなります。
:次は、完成したそばを楽しむ満足げなAmyさん