旨いそばって、何だろう。
なかなか難しいテーマではあるが、旨いそばはどういうものであるか、その定義を試みよう。
私は、毎日そばを打っている。粉に水を入れ、鉢の中で玉にし、のし板で伸ばして、畳んで切る。たった一行で片づいてしまうそば打ちであるが、ここで行われる一つ一つのプロセスの良し悪しが、出来上がったそばの品質に大きく影響するということには、前々から気づいていた。
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▲画像は、常陸秋ソバ自家製粉の生粉打ち
加水率39%(室温23度、湿度48%)
器は、欧米向けのもりそば皿の試作である
そこで、一体「よいそば・旨いそば」とはどういうものを指すのか、それをひとまず暸かにしてみて、そば打ちの個々のプロセスとそれがどのように関わっているのかという謎に迫ってみようと考えた。この作業を通じて、より旨いそばを打つための具体的な方策が発見できると確信する。
最初に、よいそばの条件を整理し、【味覚・嗅覚】【視覚】【触覚・聴覚】 の5つの側面から、どのような条件を満たしているとよいそばと呼べるのかを考えてみたい。
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