そば/そば関連情報

立ち食いそば屋はなぜ潰れないのか?(3ページ目)

身近な疑問からはじめるそば店経営学

執筆者:井上 明


前ページの引き締まったフォルムが、容積をも引き締めている



想像してみてください。売価がせいぜい数百円。その中に家賃や光熱費人件費などの固定費をはじめ、毎日仕入れる製品原価が含まれているわけです。
原価の分析は円未満の「銭」単位で行われることになります。

そんななかで、顧客の満足を損なわずに原価を圧縮する、ありとあらゆる努力が払われています。そのひとつがこの丼のカタチというわけです。

一般のそば屋の場合、種物の汁は360ml~400ml、店によっては、450-500mlなんていうところもあります。
それを、丼をこのように引き絞ることによって、270mlにまで抑えることができるのです。標準的な400mlの丼と較べて、30パーセント以上も少ない汁で提供できるというわけです。


▲一般的な丼は、このようにたっぷりとしたカタチをしている

汁の少量化は、単に原材料の圧縮にとどまりません。省スペース化、光熱費の低減、仕込み時間の短縮、ロスの低減をも意味します。まさに汁はそば屋のカナメであるから、こうして自店の味を大切にしながら、少しでもフトコロに優しく…。

ご存じでしたでしょうか?こうして立ち食い蕎麦は、愛にあふれた経営努力で、皆さんがスタンドの暖簾をくぐるのを、お待ちしているのであります。


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