そば/東京のそば屋

はしりの桜海老を心待ちにする 下赤塚・ひびき庵 訪問記

静寂に包まれた緑濃き一角に、付近の蕎麦好きの支持を集めている人気店がある。

執筆者:井上 明

なんだか、シアワセになれる、そば屋なのだ



東武東上線の下赤塚駅から、徒歩を決め込むには少々覚悟がいる距離。それなのに、いつも大勢のお客様で賑わっている。つまり、お店の味とコンセプトが、多くの人々から支持されている幸せな店である。

店主の池田さんは、もともと別の仕事を手がけてきた、ひとかどの人だ。ところが、蕎麦への想いが日に日につのり、ついに念願のそば店をオープンしてしまったのである。

それまでは、自宅にある蕎麦工房で手打ちの研鑽をかさね、また、開業のためのそば教室にも通って、麺の完成度を納得のいくものにした。たいへんな努力家だ。池田さんの打つ麺は、素晴らしい。でも、お客様は、その麺だけがお目当てではないようなのだ。



この店は、いつ訪れても気持ちがいい。隅々まで行き届いた清掃は、この店の品格を物語っている。入り口からトイレまですべて段差を廃し、車いすでも利用できるバリアフリー仕様となっている。そして、これらの気配りが、実にさりげなく提供されているのである。

居心地が、いい。居心地がよいと、ついつい蕎麦前(日本酒のこと)も進んでしまう。今宵は、吟醸なのに深い、東北泉雄町大吟醸:1,575円(山形・遊佐)。そば味噌:420円 をアテに、ついつい2合も呑んで、さらに良い気持ちになってしまった。

池田店主は、毎朝早くからおそばを打ちはじめる。自家製粉でこだわりの粉を碾き、この繁盛店につめかけるお客様のために一所懸命に打つのだ。並そばのほか、芥子、柚子、紫蘇などの季節の変わりそばも打つというから、そのパワー、並大抵ではない。

この店の客席に座るお客様(ご家族連れや、地元のカップルなどが多い)が、みなさん幸せそうにしているのは、店主の熱意が伝わってくるからだろう。この店に座っているワタクシも、なんだか幸せになってきた。



さて、このところちょっと寒い日々が続いた、しめのお蕎麦は、生桜えびのかきあげをフィーチャーした「かき揚げそば:1,365円」にしよう。
ボリューム感いっぱいに、からっと揚がったかきあげを、温かいそばの汁にちょっとひたせば、口の中にもおいしい幸せがひろがった。


【蕎麦 ひびき庵】

住所/板橋区赤塚5-34-33(板橋区立美術館の並び)
電話/03-6780-0001

営業時間/11:30-14:00 17:30-22:00
定休日/水曜、第1火曜

バス:
●成増駅北口より、区立美術館経由・高島平操車場行き、国際興業バス(増17)区立美術館下車徒歩1分
●成増駅北口より、赤羽行き、国際興業バス(赤02)赤塚8丁目(松月院前)下車徒歩3分
●下赤塚駅北口より、高島平操車場行き、国際興業バス(下赤03)赤塚8丁目(松月院前)下車徒歩3分
●都営三田線高島平駅より、区立美術館経由・成増駅北口行き、国際興業バス(増17)区立美術館下車徒歩1分

車:
●板橋区立美術館の並び。駐車場10台

徒歩:
●都営三田線西高島平下車 徒歩約15分、
●東武東上線成増北口または、下赤塚北口より 徒歩約15分
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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