伝説的な味覚「生返し」
▲名店の暖簾や看板には、やはり独特な味がある |
さて、並木の藪…池之端と神田の藪をあわせた「藪御三家」の一員である名店中の名店。醤油に一切加熱せずに、仕込んだ物を土中の甕に入れて長期間寝かすという手間暇かけた「生返し」は、伝説的な味覚である。
ただし、この汁…そんじょそこらのそば屋の汁と同じように、たっぷり浸してしまったら、辛くて大変なことになる。落語じゃないが、たくり寄せた麺の下三分の一をちょいと浸して、つつーっつと手繰るのが、ここんちの楽しみ方だ。
▲蒲鉾(鈴廣の上板と見た)は、飾り切りなどせずに直球勝負。江戸の赤みそベースの蕎麦味噌も添えられる |
寒い冬に愉しみたい一杯
▲ありきたりのメニューだが、実は麺と玉子を熱々でキレイに提供するタイミングが難しい |
寒い冬に愉しみたい、優しい風合いの一杯。ざるの汁とはちがって、一滴残さず飲み干せる位に仕立てられたかけづゆと蕎麦の上に、一枚の浅草海苔が敷かれて、その上にふんわりと溶かれた卵二個分がのっている。見事だ。
▲伝統的な朱塗りの角湯桶もいいが、このタヌキみたいな土瓶も愛くるしい |
くーっとヒッカケて、つつーっと手繰って。土瓶で供されるそば湯を楽しんだら、おもむろに、どこか別の粋なトコロに河岸を変える。これが浅草の正しい楽しみ方というものです。
今宵あたり、あなたも、いかが?
【並木 藪蕎麦】
営業時間:11時30分~19時30分
定休日:木(定休日が祝日の場合は翌日休)
所在地:東京都台東区雷門2-11-9
地図:Yahoo!地図情報
交通:東京メトロ銀座線・都営浅草線・東武線浅草駅
駐車場:なし
料金:ざる650円、鴨南そば1700円