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両国の、国技館とは反対の東口で降りると、インパクトあるたたずまいをみせているのが、江戸東京博物館である。どなたの設計かは存じ上げませんが、このお姿についてはノーコメントということで勘弁してください。この建物が「ほそ川」をさがしあてる目印なのです。 博物館の前にT字路があって、博物館に背中をむけてT字路を進んで、一本目の右に入る露路を曲がるとほどなくほそ川である。
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お店はこんな佇まい。実はこの時サッカーに興じる少年約2名がいたのですが、ワタクシがおもむろにデジカメを取り出して撮影をはじめると、視覚に入らないように、さりげなく協力してくれたのでした。さすが江戸前の配慮。よい子等です。 ちなみに、「ほそ川」の店頭に掲げてある白いカンバンは、『小学生以下のお子様』をお断りしている趣旨のかきつけだ。賛否はいろいろでしょうけれど、ここまでハッキリ書くというスタンスは東京ではちょっと珍しいなと思いました(なぜか関西に多いみたいですが)。
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店内に通されました。これは、窓際の席からあたりの風景を活写した一枚。本格的な下町の風情。さっき撮影に「協力」してくれたよい子も映っています。前景にはツツジ。これもまた、下町気分をもりあげています。
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で、店内です。お連れ様の顔がぼおっと浮かびあがる程度に、抑制をきかせたライティングポリシー。なるほど、あまりお子様むきのシツライではありません。もの凄くおしゃれです。
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ワタクシが居座った大テーブル。普段のシゴトを忘れてぼおっとしてしまいました。チークのテーブルと土壁が、なごみの空間となっています。
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ほどなく所望したお酒が運ばれてきました。福島の大七 850円。このお店でお燗をつけてくれる名柄のひとつ。とてもクラシックな酒づくりをしているそうで、人肌のお燗が本当にうれしい。まじめな純米酒ならではの、昔なつかしい味がします。
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アテは江戸前穴子 \1,400を所望しました。しっかりとシゴトをした素晴らしい一品。煮ツメの部分がプルルンと煮こごりになっていて、炙って提供する基本の穴子とはまた違った魅力でした。
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いただいたそばは、「ひやごぼう」1,400円。つめたいそばがぶっかけになっていて、その上に太い牛蒡が井桁状に組まれたダイナミックなかき揚げがのっていて、切り三つ葉があしらわれています。細からず太からずの中庸のそばと、辛からず甘からずの中庸の汁が、品よく揚がったゴボウにうまくからんで、絶妙なハーモニーを奏でていました。
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なにしろ昏い店内です。画像修正にも限界があります。そこで、ちょいとアップをご覧ください。
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そして至福のフィナーレは、お約束のそば湯です。ほそ川のそれは、まるでポタージュのようにどろりと濃く。丼に残された旨みをそこに閉じこめて、最後の一滴まで飲み干さずにはおられない衝動を誘います。オトナの隠れ家と呼びたい、下町のそば屋です。
【江戸蕎麦 ほそ川 DATA】
東京都墨田区亀沢1-6-5
電話03-3626-1125
営業時間 11:30-20:00
月曜定休
大江戸線両国駅A3出口より30秒北斎通り1本目路地右折すぐ
主なメニュー せいろ 900円 田舎そば 1000円 かけ900円
ほそ川は、うどんガイドの蓮見さんも記事にしています