そもそも返しって



そばつゆのベースとなるものが、一般的には醤油、味醂、砂糖を配合してこしらえる「返し」だ。返しは、醤油に加熱して作る「本返し」と、醤油に加熱しないで作る「生返し」に大別される。返しの作り方は、こちらに記述しておいたのであわせてご覧いただければと思う。

さて、問題はこの返しの「賞味期限」である



築地そばアカデミーでは、開業総合科の開講期間中多彩な外部講師をお招きしてそば店の開業に役立つ有意義な講義をお願いしている。その中のお一人に、ヒゲタ醤油の加藤哲哉氏がおられる。

講義の中で氏が必ず触れる話題の一つが、返しの賞味期限だ。
まず醤油一斗をベースに返しを仕込むと、それは一体何人前のもりづゆになるだろうという設問からはじまる。実は、この質問に正解した生徒さんはまだいないのだが、一斗の醤油は、味醂と砂糖をあわせ1000人前のもりづゆになる。

ということは、一日に200人のお客様が来店る繁盛店の場合、5日で一斗、一ヶ月では6斗も消費することになる。
本返しの場合、醤油の角をとるために、4-7日位寝かせる期間を設けたい。つまり繁盛店の場合、返しを貯蔵する寸胴を二つ用意しておけば、一方が空になった時に本返しを仕込んでおくことにより、つねに適切な状態の本返しがスタンバイしていることになる。

さて、返しはいつまで使えるか?築地そばアカデミーとヒゲタの加藤氏の見解は一緒である。「寝かし」がすんだ返しは、できる限り早く使い切りたい!

返しを早く使い切りたい理由



返しに使用した醤油は、常温で空気中にさらされているわけだから、常に酸化が進んでいる。1ヶ月もたてば、色が濃くなり風味も落ちてくる。台所の片隅に置去りにされた醤油指しをご覧になったことはないだろうか?醤油が中濃ソースのようにどろりと濃くなって、味も悪くなっているあれである。味醂と砂糖が合わされているはいえ、返しの中の醤油もそれと同じことが進行している。

というわけで、返しの賞味期限はおおむね1ヶ月。醤油本来の旨味があるうちに、すっきりと使い切ってしまいたい。


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