きつねとタヌキは化かすモノ。江戸のタヌキは揚げ玉で、浪速のタヌキは「そば台のキツネ」なのだ。ちょっとややこしかったかなァ? それはさておき、江戸の落語で花見のシーンてぇと必ず出てくる飛鳥山(あすかやま)のすぐそば、王子権現のならびの名店「越後屋」にもちょいと変わったタヌキがおった。 |
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凄い人気店なのだ、2時台というのに家族づれがどんどん入店 しち面倒くさい理屈はヌキで、そばという料理をストレートに楽しめる店が繁盛するっていうのは素晴らしいことだ。 越後屋さんのロケーションは、王子の駅から結構歩く。路面の店とはいえ、決して最強の立地なんかではない。でも、並のそば屋なら静まりかえっているゴールデンウィークの3時前だというのに、地元のお客さんは三々五々家族連れで越後屋さんの扉を開ける。 王子の住民にとって、越後屋さんの蕎麦を食べるてえことが、もう生活の一部になっているんです。 実はガイドはここらあたりにちょいとユカリがあって、結構前からたまぁに寄らせていただいていたんですが、このたびは飛鳥山のツツジを観に来たツイデにちょいとたくらせていただきました。 この一杯。王子のタヌキそばです。950円。江戸の種物でも、浪速のそれでもなく、こいつは越後屋さんのオリジナル。ちぎりコンニャクを鴨に見立てて濃いめのけんちん汁に仕上げるのをタヌキ汁としゃれますが、要はその蕎麦版というわけです。 二日酔いで、動物性タンパク質はごめんだが、少しパンチの効いた味が欲しいなんてときにうってつけです。たっぷりの大根おろしと、繊維質たっぷりのゴボウがたまらなくヘルシー。 |
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自家製粉でこだわりの手打ち この店にはじめて入ったら、分厚いメニューに一通りは目を通して欲しい。それをいいことに、蕎麦前(お酒)を頼んでおいて、じっくりとアテや蕎麦を決めるなんていう楽しみ方はお薦めだ。 この記事で越後屋さんのメニューを紹介しようかと思ったが、それはミステリーの種明かしをするようなものなので、やめておこう。ぜひぜひ、実際に訪れて、大いに驚き、楽しんで、舌鼓を打っていただきたい。 さて、 種物にこだわっているのに、蕎麦にもきちっと手を抜かないのが越後屋さん流。店内の真ん中には打ち場があって、中では蟻巣の石臼が四六時中働いております。こういうところがそれ、名店の名店たるゆえんなのだと思います。 【ハシゴ情報】実は越後屋さんからうどんの名店「すみた」までは徒歩25~30分くらいの歩程です。腹ごなしに丁度よい距離といえます。
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