どうしたら細く・正確な麺にできるのだろう。こればかりは、打ち手の技もさることながら、正確な道具を用いなければ困難である。 |
二八蕎麦の太さは、昔から切りべら23本と言われ、一寸(約3.03cm)の麺帯を23本に切るのがよいとされてきた。麺帯は本ノシの仕上がりで、約1.5mmの厚さとなっており、それを「3.03cm÷23」に切るわけだから、1本の蕎麦は、1.5×1.3mmの長方形の断面をもつ姿となる。これが、太くもなく細くもない、蕎麦のスタンダードサイズと言えるだろう。 断面には、ノシべらと切りべらがある。ノべらとは、きしめんのように、麺帯の厚さに比べて切り幅が大きい形状を言い、切りべらとはノシ厚より狭い幅で麺を裁つことである。ノシべらで仕上げる蕎麦もあるが、江戸前のモリは切りべらが基本となる。 さて、どうしたらこのように正確な麺ができるだろう。こればかりは、打ち手の技もさることながら、正確な道具を用いなければ困難である。 |
なにしろ1.5mmという薄さに伸すのである。ノシ板が反っていたり、麺棒が曲がっているようでは到底おぼつかない。鏡面のように仕上がったノシ板の上で麺棒をころがすと、すーっと音も立てずに回転していく位の精度が欠かせないのである 本職が使う蕎麦道具は、それが商売道具でもあるわけだから、得てして高い。コダワリをきわめると、値段の付けようのない芸術品の世界に行き着く。 でも、蕎麦を打つ人すべてが、商売を志すわけではないし、ましてや芸術品を求めているわけでもないだろう。正確かつ、値頃であって欲しい。実は、そんな現実的な解答がもとめられているのではないだろうか。 【続きを読む→】 蕎麦道具にこだわる人へ(川越蕎麦の会 特撰蕎麦道具販売所) |