シェフの個性あふれる料理たち
バレンタインということで、ハートをあしらっています。 |
写真の左上にあるのがロザス。ロザスとは、教会にある丸い薔薇窓のこと。聖バレンタインにふさわしいですね。ホタテとウニのうまみを存分にいかしたマリネの上に、その切り身と、歯ごたえのあるラィデノワール(黒大根)を、ぐるっと美しく盛り付け。右下にはたんぽぽ、アスパラなどのブーケ。程よい酸味と、ナイフでの切りやすさと歯ごたえを両立させた、絶妙なブーケ。そして左下には、ホタテの肝をペーストにして、これまたバレンタインにふさわしく、なんとハート型に盛り付け! シェフの遊び心満載です。見た目・味の点で、今回一番のお気に入り。
こちらはプレゼント袋をイメージした、パートフィロ包み。 |
ひらめの身と海老を、パートフィロ(小麦粉を使った、薄い春巻のような生地)で包み、プレゼント袋をイメージ。こちらのブール・ブランソースは、絶妙な味加減で本当に美味。野菜の下にはラタトゥイユが隠されており、そのトマトによる酸味が、途中から味を変化させます。こちらはソースと素材のバランス(魚が大きすぎた)等は、まだ改良の余地ありですが、シェフにはお伝えしているので、もうバッチリ改善されているでしょう。
いわばフレンチ・チンジャオロース。イベリコ豚の特性をしっかり生かしてます! |
お肉料理は、イベリコ豚の豚トロのソテー。イメージは「フレンチ 青椒肉絲(チンジャオロース)」。確かに、歯ごたえの良いタケノコが入ったメインディッシュは、ヌーベル・シノワ。イベリコ豚自体は日本でもずいぶん増えて、よくロース肉は見ますが、豚トロはまだまだ珍しい。自称・食材オタクという、シェフならではですね。味の方は、確かに中華っぽいところはありますが、もともと脂の上質な旨みが魅力のイベリコ豚。その中でも豚トロとなれば、イベリコ豚の醍醐味をしっかり味わえます。とろける豚肉、というのはまさにこのこと。シェリーヴィネガーを使った風味豊かなソースが、この料理をぎりぎりフレンチたらしめています。隣のクラシックな「ルセット」とは違う、「レ・シ・ピ」の料理ですね。
次ページでは想像性豊かなバレンタインのデザートをご紹介。