南仏の完熟フルーツ
このワインは先の「バーガンディー」と同じシャルドネのみで造られる。だがこれは、地中海沿いのラングドック地方で造られたヴァン・ド・ペイ・ドック(「地酒」)というカテゴリーのワインだ。涼しいブルゴーニュと比べて、地中海沿いでもスペイン寄りのこの地方は暖かい気候でブドウがよく熟す。このところ地中海沿岸に進出する著名生産者が絶えないのは、気候に恵まれているからである。
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先のブルゴーニュはどちらかといえば上品でまろやかだった。これはもっと元気がいい味だ。とろっとした適度なコクがあるのは同じだが、果物に例えるとパイナップルに近いような熟した甘い香りがある。それだけではなくて、ハーブや花のようなフレッシュなキレがあるから、味に締まりがあってバランスが取れている。
甘い香りというと糖分があるように思われそうだが、味は充分に辛口である。ヴォリューム感のある料理にも充分釣り合いそうだ。中国料理やエスニックで油脂や甘味が多用されたものでも問題なく合うだろう。フルーティーだから、最初に紹介したソーヴィニョン・ブランのように軽やかなワインよりしっかりした味が好きという読者は、このワインで始めてもいいだろう。
「バーガンディー」と「シャルドネ」を1本ずつ買って、両方注いでみて並べて飲んでみるのも面白い。同じシャルドネが環境によって全く違うワインに仕上がるのが判るはずだ。
では次に、赤ワインも3本挙げよう。