巨匠が描くアヴァンチュール
40年以上映画作りに携わってきた巨匠ウディ・アレンが、スペインで撮った映画『それでも恋するバルセロナ』(原題は『Vicky Cristina Barcelona』)。日本では2009年6月27日に公開される。毎年のように名作映画が選ばれるゴールデングローブ賞の作品賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した本作の熱演で、スペインを代表する美人女優ペネロペ・クルスがアカデミー賞助演女優賞を受賞した。アメリカ人女性のヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)が旅行先のバルセロナで、いかしたスペイン人画家のフアン(ハビエル・バルデム)にふたり揃って惚れてしまう。そこに男の元妻マリア(ペネロペ・クルス)も現れて、ふたりの恋はそれぞれ意外な展開に……という話である。ラテン系映画にありそうなストーリーの作品なのだが、かの巨匠ならではのコミカルな演出が好印象だった。
スペインが舞台とあって、ワインを飲むシーンが多い。ワインが美味しいといってはご機嫌になり、ワインを飲み過ぎたといっては寝込んだりする。アメリカ人がスペインに行けば、(たとえ普段ビールを飲んでいても)ワインを飲む。それにワインをきっかけに現地のイイ男と恋に落ちるなんていうのは、なかなかロマンチックなのだ。
そういう時のワインは、銘柄など問題ではない。女性だって本当にイイ男に見とれていたら、ラベルを確認して「あ、ブドウはテンプラニーリョを使っているのね。この生産者は……」なんて言ってられないはずだ。その男が「これ、旨いんだよ」といってすすめるワインを、ラベルもボトルもろくに見ないでぐいっと飲んで、「ホントにおいしい!」と言えるなら何だって構わないのではないだろうか。
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