値上げと値下げ
前年から為替レートでのユーロ高による輸入ワインの値上げが進んできたが、2008年にはその他のコスト上昇によるワインの値上げが目立った。輸入ワインは生産者から購入する時点での「蔵出し」価格が上がり、石油価格が高騰したことで輸送費が上がるなどの要因があった。また、アルゼンチンなどから輸入した果汁を日本で発酵させる「国産」ワインについてはぶどう果汁価格、その他の国産ワインについても包装資材コスト、輸送費などが上昇したことが値上げにつながった。ワインもまた経済に左右され石油に依存している商品だと痛感させられる。いっぽう、ワインの価格を下げることで売上を伸ばそうという試みもあった。たとえば2008年5月からひらまつグループの『ブラッスリー・ポール・ボキューズ』4店で、ワインの価格を「ワインショップの小売価格と同等の価格」に改定した。ワイン小売では11月からイオンの系列店でワインを含む300商品の「円高還元値下げ」が行われたほか、同月のボジョレ・ヌーヴォー解禁に際してはイオンと西友がそれぞれの独自ブランド商品の価格について値下げ合戦となった。こうしたレストランや小売店での大幅値下げは「採算度外視の客寄せ価格か?」と見られがちだが、消費者にとっては低価格の選択肢として魅力的であり、安売り以外の商品が合わせて売れれば店側にもメリットがある。