ミニ ソパイピージャのルクマ ムース添え
デザートである。ソパイピージャというのは国によって違うが、チリのものは一般的に小麦粉やカボチャなどを使った生地を揚げて、甘くまたは塩味に仕上げたもの。甘くする時には普通、チャンカカという黒糖やハチミツなどを使ったソースをかけるとか。また、ルクマというのはペルー原産の果物で、栗やカボチャのような風味が独特でよくアイスクリームに使われ、病み付きになる人も多いそうだ。「日本でルクマが手に入らないので、チリから送ったのですが随分とお金がかかりました」とはシェフの弁。
確かに栗のような風味があるが栗ではない「ルクマ」のクリーミーなムースと、揚がった後でソースに浸ってジュブジュブした食感となっているソパイピージャ。異文化体験である。イメージキャンペーンのスローガンは『Chile, All Ways Surprising』つまり「あらゆる面で驚くべき国、チリ」というようなフレーズだが、こういうものは初めて食べたという驚きがあった。このデザートに合わせた甘口ワインは、フレッシュなアロマをもつもの。
■ クマヤ レイト・ハーヴェスト マスカット・オブ・アレキサンドリア 2006
マスカットといってもベタ甘などではなく、芳香のあるピュアな風味と小気味良い酸味がデザートを締めくくってくれる。一貫してチリ特に南部の食材や料理を取り上げたコースだが、さすがに洗練と現代性がほどよく盛り込まれていて、珍しい食材と料理から、チリに対する興味が高まるようなものだった。
チリのカリスマ料理人、マティアス・パロモ氏。なかなかの腕前である。そしてチリという国の食文化はチリワインのみならず、かなり奥深いものがありそうだ。