メロ(銀ムツ)のクラントソース
魚介料理の主役は、マジェランアイナメという深海魚である。以前は「銀ムツ」と呼ばれたが、同じスズキ目でもムツとは違う仲間なので現在はメロと呼ばれる。南極海周辺に生息しているのでチリやアルゼンチンでも獲れて、主に日本とアメリカで消費される。この魚にエビと貝類が添えられているのだが、クラントとは南米南部の料理で蒸し焼きのようなものらしい。以前は穴を掘って焼け石を敷き詰め、肉や魚介類そして野菜など色々な食材に時間をかけて火を通したが、現在では大鍋で作る具の多彩な「ワイン蒸し」のようなものもクラントと呼んでいるようだ。
蒸し魚介の汁が渾然一体となって、旨味が充分に凝縮したソースである。ゼラチンでプリプリの食感に固めた一枚(ビジュアル的にカッコイイ。味や香りは淡い)の下にごろりと置かれたメロの身も、ジューシーで旨味が濃い。合わせて供されたワインは2種。
■ モンテス リミテッド・セレクション ピノ・ノワール 2007
■ デ・マルティノ レガード カルメネーレ レセルヴァ 2006
魚介に赤を合わせるのが、今風だ。試しに前に出たカベルネ・ロゼを合わせてみたが、口の中がさっぱりするものの、やや酸味が突出するのも否めない。それに比べてモンテスのピノ・ノワールは料理がもつ旨味の濃さにぴたりと呼応するし、風味が上品で魚介の風味を華やかにまとめてくれる。いっぽう、カルメネーレ(またはカルメネール)は華やかさよりも穏やかでなめらかな風味で、料理を引き立てるようなタイプである。
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